MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「金閣寺」

三島由紀夫
1950年 鹿苑寺金閣放火事件
“君はちっとも美しくない童貞だ”
美の理想を金閣に求める吃音の醜少年
住職となり性や乳房を見る度に金閣が脳裏に浮かぶ
金閣は焼かねばならぬ”
普通の少年が放火犯に堕ちる過程を幼少期から構築する驚異の想像力
京の山の静寂を劈く郝灼の大文字

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期待値が高じて唯一プレミアムカバー(2021)で購入

本書は犯罪小説でも悲劇でもなく”青春小説”という体裁

青春の形は人それぞれとはいえ全くの他人である三島が犯人の心理を抉る程に且つ美しい文章での表現

誰が読んでもそれと分かる傑作

個人的に唸ったポイントは以下

ー歴史的・建築的・描写的にも美しい金閣
ー美しい金閣と醜い男の対比
ー春を鬻ぐ女と悪事を肯う友人の役割
ー少年期の戦争や父の死の回想
ー心中で金閣が消えては現れる絶妙なタイミング
ー今で言う映画「JOKER」的主人公設定

更にこの完成度で連載形式の小説という…f:id:MarioPamuk:20220224230516j:image