MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-01-02 to 1 day

「文学は予言する」

私見だが予言・分析・芸術の不足した文学は文学と認めたくない“文学は予言する”故に三島も芥川も太宰も予感した地獄が訪れる前に自殺した・ディストピア・シスターフッド・生まれつき翻訳翻訳家目線で3点から世界文学を追求する試み現代日本の言論の自由迫害…

「ブルックリン・フォリーズ」

ポール=オースター著アメリカ作家NYで最も多様な人種が日々すれ違うブルックリン地区元保険屋の男は老境で離婚し古本屋に携わるながら愛しい街の人々(Follies)を描く小説「人間愚行の書」執筆を開始2001.9.11までの”Bell Epoch”を描く生き生きとした悲喜劇…

「純粋な人間たち」

モハメド=ムブガル=サール著セネガル作家“純粋な人間たち”ほど始末が悪いイスラーム回帰を目指すセネガルでLGBTQ排除運動勃興折しもランボーと同性愛だったヴェルレーヌの詩を研究する若き教授にも飛び火し大学から迫害を受けるマイノリティに注目した途上…

「樵るー激情」

トーマス=ベルンハルト著オーストリア作家世紀末退廃文化に辟易し長年を田舎で過ごし芸術家晩餐会に招かれウィーンに帰還した小説家独白形式で毒舌と呪詛を連ねていく著者自身と重なる激情の”意識の流れ”過去と現在が猥雑に交錯する中で木樵が最高という結…

「そば学大全」

病気と寒冷に強く成長も早いヘルシー食品の非常食の歴史が長いそば伝統的日本食と思われがちだが世界各地にそば文化は存在する“そば粉グレープ”ガレット(フランス)“そば粥”カーシャ(ロシア)“雲南そば”ヘイロ(中国)“パスタ風そば”ピッツオッケリ(イタリア)“キ…

三島由紀夫全60読破記念総書評

森鴎外の硬派な美文谷崎潤一郎のサド気質川端康成の詩的感性法学的二項対立の文章構造古典・芸術・歴史・文化の博識ボディビルで鍛えた肉体過激な政治行動完璧すぎる純文学鋭い戯曲と批評国際色豊かなエンタメ文学享年45歳活動期間23年自殺まで60冊を残した …

「戦後日記」

三島由紀夫著昭和30〜40年昭和と共に歳を取った”戦後日記”「鏡子の家」執筆の記録ボディビル日記川端康成などの文豪との交流妻と子との思い出戦争の記録と政治闘争新聞・雑誌・長編の連載記録文学論オペラ鑑賞国内外旅行記マメな文豪の不安や諦念の声がリア…

「繁花 下」

金宇澄著 中国作家歴史地区”外灘”年寄りの愚痴子供の笑い声地元メシの屋台商売の喧騒路地裏の娼婦怪しい取引かつて世界中のスパイとアジア最高峰の金融機関が犇き貧富の格差と売春が蔓延った上海の”繁花街”人口も増え最新の高層建築が空を覆う最富裕層の街眩…

「繁花 上」

金宇澄著中国作家主要文学賞3冠(魯迅文学賞・施耐庵文学賞・茅盾文学賞)近代アジア”魔都”上海租界・移民街・少数民族区・欧米列強既得権益者…変わりゆく時代と家族文化大革命期1970年代改革解放政策1990年代2つの時間軸が交代進行しノスタルジックな上海を鮮…

「スワヒリ世界をつくった海の市民たち」

オマーン〜ケニア〜ザンジバル〜タンザニア〜モザンビークタンザニア在住30年の現地ツアー主催者が辿るスワヒリ世界の歴史と都市を紹介“インド洋”の印僑“シンドバッド”の如きアラブ商人“マジマジ”を纏う黒人奴隷アフリカは想像以上に国際交流が豊かで重層

「三体0 球状閃電」

劉慈欽著中国作家「三体」前日譚球体として浮遊し物体に部分的に高圧電流を流す未解明の自然現象”球電”球電に家族を灰にされ現象解明を試みる少年人工球電兵器発明を夢見る少女研究を進めるうち国軍の極秘プロジェクトに巻き込まれていくシリーズ脇役も登場…

「郵便局」

チャールズ=ブコウスキー著ドイツ系アメリカ作家おれは郵便局員時に正規で時に非正規…Uncle SAm(USA)のお遣い人♪好きなものは酒と女と煙草とギャンブル♡オッパイ揉んで寝んねして!配達して酒飲んでまた明日☆(※上記は本書の粗筋でありツイ主が発狂している…

「物語 遺伝学の歴史」

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査はDN A中のRNAを検出する今や人口に膾炙した遺伝解析ゲノム解読やデザイナーベイビーも実現手前メンデル〜最新ノーベル賞の研究を纏めた遺伝学史生物学は世代間検証に時間を要し未だに最終確認手段は3(顕性):1(潜性)のメンデル…

「幸福号出帆」

三島由紀夫著イタリア系混血の兄と美貌のオペラ歌手の妹仲睦まじい2人は遺産相続金で船舶”幸福号”に乗り堅苦しいオペラ界を脱出退屈凌ぎに始めたマフィアの貿易密輸に関わり始めるが…?オペラ「椿姫」や「カルメン」など音楽芸術も随所で登場汽笛を告げる戦…