「聖女伝説」

多和田葉子
ドイツ・日本作家
1中編1短編集
表意文字の日本語と表音文字の外国語(主に欧米語派)の語幹・五感・互換を駆使
“聖女伝説”
“ケとハレ”に選ばれ聖人出産を運命付けられた女
逆説的な”聖→俗”への賛美と聖女の救済
“声のおとずれ”
表題作の派生的作品
少女の無垢と性覚醒を描く

f:id:MarioPamuk:20221002102005j:image

「ここから世界が始まる」

トルーマンカポーティ
アメリカ作家
解説:村上春樹
14短編集
“8歳で作家になった”と豪語する著者の始まりを告げる初期作を収録
少年少女の年齢と知性に沿う巧みな心理描写と表現
流麗な文章だが奥深く繊細
似た作品が多いが飽きさせず寧ろ次章に行くにつれ期待値も高まる

f:id:MarioPamuk:20221002101853j:image

収録作

“分かれる道”
“水車場の店”
ヒルダ”
“ミス・ベル・ランキン”
“もし忘れたら”
“火中の蛾”
“沼地の恐怖”
“知っていて知らない人”
“ルイーズ”
“これはジェイミーに”
“ルーシー”
西行車線”
“似た者同士”
“ここから世界が始まる”

+略伝・評伝・編集後記を掲載

ロベルト=ボラーニョ全11冊読破記念総書評

中南米を俯瞰した壮大な詩的NFを繰り出す詩人崩れの皮肉屋
チリ軍政の経験が産む陰鬱で暴力に満ちた小説世界
半自伝の色濃い虚実混淆の”新基軸ポストコロニアル”は時代と権力に翻弄される喪失者を精密に描写
特に遺作「2666」と大作「野生の探偵たち」は圧巻

f:id:MarioPamuk:20221002101746j:image

以下個人的ランキング

1.「2666」
2.「野生の探偵たち」
3.「アメリカ大陸のナチ文学」
4.「はるかな星」
5.「売女の人殺し」
6.「鼻持ちならないガウチョ」
7.「通話」
8.「チリ夜想曲
9.「ムッシュー・パン」
10.「第三帝国

「アメリカ大陸のナチ文学」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
総勢30名の架空作家の架空書評と実在作家の実在書評が混淆した”極右作家列伝”
第二次大戦の戦場でない中南米は敵愾心がなく反米で迎合
アイヒマン等ナチ残党の亡命も続出
終章は「はるかな星」原型
架空だと忘れる程の豊かな想像力

f:id:MarioPamuk:20221002101644j:image

「ムッシュー・パン」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
ペルー前衛詩人バジェホがモデル
元大戦傷病兵の催眠術士パンに瀕死の男の吃逆治療の依頼が届く
パンは男の美人若妻に恋慕するが…?
一方ナチ台頭期パリを暗雲が包んでいく
不気味な水槽ジオラマや迷宮倉庫や診療所はノワール映画っぽい

f:id:MarioPamuk:20221002101547j:image

「鼻持ちならないガウチョ」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
7短編集
“ジム”
“鼻持ちならないガウチョ”
“鼠警察”
“アルバロ・ルーセロットの旅”
“2つのカトリックの物語”
“文学+病気=病気”
クトゥルフ神話
ボルヘスカフカの模倣作
マルケスリョサの痛烈批判
現代版騎士道物語のガウチ

f:id:MarioPamuk:20221002101432j:image

「通話」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
14短編集
著者の放浪詩人ぶりが伺える妙作
バシッと狐に摘まれる種類のサリンジャー的良作
サリンジャー曰く”詩人は発明者ではなく発見者でなければならない”
日常の最低限の声を題にする点は詩人らしい一方できちんと起承転結のある短編となっている

f:id:MarioPamuk:20221002101235j:image

収録作
“センシニ”
“アンリ・シモン・ルプランス”
エンリケマルティン
文学の冒険
“通話”
“芋虫”
“雪”
“ロシア語をもう一つ”
ウィリアム・バーンズ
“刑事たち”
“独房の同志”
“クララ”
ジョアンナ・シルヴェストリ”
“アン・ムーアの人生”