MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「血と砂」

ブラスコ=イバーニェス著 スペイン作家 セビーリャ美形花形闘牛士ガリャルド 恋に狂い牛を遇らい男を貫くその生き様 太陽が灼き砂が舞い血が迸る闘牛場(コリーダ)を描く100年前の小説 マドリードバルセロナが”野蛮なジプシー”と蔑んだアンダルシアの豪快で血腥い闘牛文化を活写した作品

「世界史の哲学4 イスラーム篇」

商人の預言者 神との契約論 一神教信仰 法学至上主義 文明の交差点 最先端科学萌芽地 “最も資本主義経済発生要素が強い”はずのイスラーム文明がなぜ今現在も適合困難なのか? 異教徒徴奴隷による世襲抑制などイスラーム独自の仕組みから中印欧文明と比較した画期的論考

「ファティマ」

レイラ=セバール著 アルジェリア系フランス作家 パリ郊外移民街集合団地の辻公園 そこでは日々アルジェリア移民女たちの多種多様な話題で井戸端会議が尽きない 儀礼・DV・割礼・ハマム・レイプ・愚痴・殺人・重労働・礼拝… フランス人でもアルジェリア人でもない少々の逃亡までの記録

「ケマル・アタテュルク」

軍人・読書人・ギリシア出身・酒豪・民族主義者・再々婚・独裁者・虐殺者… 神話化の反動が現エルドアン政権イスラム回帰の背景 対列強侵略戦争指揮 ガリポリの戦いで唯一連合軍(チャーチル)に圧勝し英雄へ 熾烈な権力闘争 政教分離オスマン帝国終幕 福祉・教育・文字改革

「理由のない場所」

イーユン=リー著 中国系アメリカ作家 華々しい作家歴の裏で長男を自殺で失った著者 自身もその悲しみから自殺未遂し漸く持ち直した 想像を絶する絶望の中で筆をとり亡き我が子へ語りかけることで心を埋めようとする 過去・現在・未来もない時間の止まった”理由のない場所”での対話

「マグレブ/フランス周縁からの文学」

フランスは植民地に直接統治で自国文化を強制した 結果フランス語圏文学は英語圏より豊穣で密接となった マグレブ出身のフランス語話者4作家を軸に紹介しマグレブ文学史を概観 タハール・ベン・ジェルーン アシア・ジェバール レイラ・セバール ヤミナ・ベンギギ

「ハルビン」

キム=フン著 韓国ジャーナリスト・作家 “ウラー!(ロシア語:万歳)”という言葉と共に銃声が響いた 1909年10月16日 ロシア蔵省ココツェフとの会談に向かう途中ハルビン駅にて伊藤博文銃殺 犯人は30歳カトリック教徒”自称無職・煙草屋・猟師”安重根 神話化された韓国の英雄の内に秘めた心境