「夜の海の旅」

#一日一編
10作目
ジョン=バース著
アメリカ作家
人間の脳神経網と宇宙は似ているという
宇宙も誰かの脳かもしれない
そんな優美な解釈を想起させる短編
死後に三途の海を彼岸を目指す海を思わせる世界観
“造物主”父に向かう暗い海の旅
曖昧な設定を上手く宇宙的広大さに結び付けている

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「コズモポリス」

ドン=デリーロ著
アメリカ作家
近未来NYウォール街
28歳にして既に円ドル為替投資で億万長者の青年
贅沢な巨大リムジンに女を招き床屋を呼び仮想空間に浸る
しかし富裕層狙いの殺人予告と投資失敗が彼の人生を狂わせていく…
資本主義の限界と特権階級批判をバーチャル+メタ的に描く

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「朴達の裁判」

#一日一編
9作目
金達寿
朝鮮系日本作家
太平洋戦争後の南朝鮮(韓国)K市
反米と反日を掲げて日々を共産主義布教に努める左翼の男
市民擁護を訴え逮捕投獄を繰り返し徐々に英雄化
弾劾裁判に持ち込むも根拠薄弱で裁けない
冷戦特有の個人と国家の間のイデオロギー論争の脆さを警鐘する

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「眩暈」

エリアス=カネッティ著
ノーベル賞ユダヤブルガリア作家
1部:世界なき頭脳
2部:頭脳なき世界
3部:頭脳の中の世界
読むほど吐気がするサルトル「嘔吐」同様に読むほど眩暈がする狂気の書
書集家の中国学者が家政婦や詐欺者と金銭トラブルで発狂
頭脳派世間知らずが世間を知って破滅するまで

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(祖先の歴史)
スペイン王国成立とレコンキスタユダヤ迫害→オスマン帝国に移住
更に近代まで細々と古スペイン+ユダヤ語の共同体が存続し現代にブルガリアとして独立
(著者の経歴)
ブルガリアから留学→ドイツ語創作→ユダヤ迫害→イギリス亡命

同じ東欧の古代東洋研究者兼作家ミルチャ・エリアーデに似た経歴