MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-02-24 to 1 day

「仮面の告白」

三島由紀夫著半自伝の文壇デビュー作“この告白は自らへの死刑宣告だ”処女作は作家の全てが現れるという三島版「人間失格」同性愛を仮面の下に隠し偽り生きてきた青年脳裏に浮かぶ聖セバスチャンの殉教若さと性への葛藤異端者=三島自身が自らに突き付けた”生…

「女神」

三島由紀夫著11中短編集160Pの表題作”女神”が傑作美に狂奔する夫だが美妻は空襲で火傷を負い娘の”女神化”へ方向転換妻の復讐と娘の自立に夫の美学は崩れていく男女で異なる美の追求の皮肉な末路“女神”“接吻”“伝説”“白鳥”“哲学”“蝶々”“恋重荷”“侍童”“鴛鴦”“雛…

「沈める滝」

三島由紀夫著“愛は人工的に育めるのか?”容姿・財力・頭脳の全てを持ちながら愛に無感覚な青年技工士と不感症の人妻の恋男女が選ぶのは物質的愛か?情動的愛か?越冬の後の残雪と冷静で冷徹な人物描写のコントラストが絶妙無資質なダムに滝の水嵩が沈む様に…

「手長姫/英霊の声 1938-1966」

三島由紀夫著9短編集13才の作品とは思えない“酸模”天皇が人間宣言する玉音放送に忿懣する兵士の独白“英霊の声”手癖の悪さを悪人に利用される女“手長姫”“酸模―秋彦の幼き思い出”“家族合せ”“日食”“手長姫”“携帯用”“S・O・S”“魔法瓶”“切符”“英霊の声”

「金閣寺」

三島由紀夫著1950年 鹿苑寺金閣放火事件“君はちっとも美しくない童貞だ”美の理想を金閣に求める吃音の醜少年住職となり性や乳房を見る度に金閣が脳裏に浮かぶ“金閣は焼かねばならぬ”普通の少年が放火犯に堕ちる過程を幼少期から構築する驚異の想像力京の山の…

「午後の曳航」

三島由紀夫著子供騙しというが大人も子供に騙される事は多い美貌の若き未亡人と屈強な国際貨物船員母と憧れの英雄だった海男2人の情事を覗く13才の息子青い少年に膨張していく慈愛と憎悪で未来の自分を処刑する晴れて”新しい父”となる船乗りに贈る“恐るべき…

「禁色」

三島由紀夫著男色の美青年を結婚させ”シナリオ通り”3人の狂妻に復讐する老小説家美青年に関わる者全てが惑溺し破滅するかに見えたが…?ゲイバー徹底取材とLGBT時代の予期肉体と精神・老若と美醜の対比異性同性に縺れる巧みな心理戦途中で変化する主題“異色”…

「鍵のかかる部屋」

三島由紀夫著12短編集戦後ノスタルジーを想起する作品がメイン9ヶ月だけ務めた大蔵省が舞台の幼女愛”鍵のかかる部屋”晩年”楯の会”1シーンの”蘭陵王”“彩絵硝子”“祈りの日記”“慈善”“訃音”“怪物”“果実”“死の島”“美神”“江口初女覚書”“鍵のかかる部屋”“山の魂”“蘭…

「岬にての物語」

三島由紀夫著13短編集古典・幻想譚・怪奇譚がメイン著者曰く”事件も古典と同様に語り変えが可能”プロット名人の面目躍如“苧菟と瑪耶”“岬にての物語”“頭文字”“親切な機械”“火山の休暇”“牝犬”“椅子”“不満な女たち”“志賀寺上人の恋”“水音”“商い人”“十九歳”“月澹…