MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「凍りついた女」

アニー=エルノーノーベル賞フランス作家 自営業家庭で性差を意識せず育った少女 しかし結婚後に労働社会へ組み込まれるや”妻”と”母”と”教師”と”女”の全方面で両立を求められる エルノーの描く女性像は男性にすら共感を優に超えた追体験を強制する 身も心も不自由な”凍りついた女”

フェミニズム文学はあれど対の男性文学は見ない 男性の社会問題に共通項がないのに対し女性のそれが共通で”性”に行き着くためだろう

小説でも日記でも回顧録でも随想でもない だが心情の見事な言語化と冷静な文章から学びがある”オートフィクション”は確かに文学だ 新時代のノーベル賞に相応しい作家