MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-11-01 to 1 day

「マイトレイ」

ミルチャ=エリアーデ著ルーマニア作家・宗教史学者インド留学に基づく半自伝風土病を患い療養のためベンガルの名家に居候そこで一目惚れした褐色の美少女マイトレイ宗教も文化も異なる2人の愛は許されざる禁忌だった…男の独白のみで女の心理描写を敢えて隠…

「嫉妬/事件」

アニー=エルノー著ノーベル賞フランス作家2中編“嫉妬”離別後の男性に嫉妬しストーカー化する女性傍目には狂人でも当人は純愛五条先生の言う通り愛ほど強い呪いはない“事件”中絶違法時代に優秀な女学生が堕胎の決意をするまで壮絶な肉体的&精神的葛藤と重圧…

「野原」

ローベルト=ゼーターラー著オーストリア作家29連作短編集田舎に生きた30人前後の職業年齢性別も雑多の平凡な人生死者が生き様と死に様を語る形式で人生を振り返っていく切り取られた恋に勉強に仕事の些細な日常ご近所同士で味わい深い余韻を残す静かで暖か…

「破滅者」

トーマス=ベルンハルト著オーストリア作家2中編音楽の造詣が深い著者の大家への内省的随想“ヴィトゲンシュタインの甥”「論理哲学論考」で有名な学者の甥で一流の隻腕ピアニストへ捧ぐ狂想曲“破滅者”カナダのピアニストで”ゴルトベルク変奏曲”の作曲者グレン…

「硬きこと水のごとし」

閻連科著中国作家ゲバラやナポレオン宜しく革命家は性欲もお盛んらしい時は毛沢東扇動の文化大革命〜江青ら4人組逮捕自称革命家の青年と少女は共産主義の英雄を讃える一方で秘密の地下トンネルを通じ秘部と乳房を弄り逢瀬を重ねる破壊の連鎖を産む革命の醜悪…

「カルカッタ染色体」

アミタヴ=ゴーシュ著インド作家医学×ミステリ×マジックリアリズムNY国際水利委員会職員カルカッタで失踪した同僚のIDを辿る鍵は1902年ノーベル医学賞受賞者が奇跡的に発見したマラリア感染経路現代アメリカと近代インド&エジプトの話が交代進行謎の染色体の…