MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「ビトナ ソウルの空の下で」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著
ノーベル賞フランス作家
田舎の貧困少女ビトナ18歳は老女サロメにバイトで自作の物語を披露する
謎のストーカー出現で少女は自己を物語に重ね始め…?
韓国の抱える若者自殺・学歴戦争・都市の孤独を描く入れ子構造のミステリ

韓国作家が書いたと言われても違和感を感じない社会・文化・地理的観察力と博識は流石

ビトナが語る小説内小説と小説本編が交互に進行する

自由と旅を求めて羽搏く鳥や龍・女性歌手の話は面白い
しかしビトナ自身がその夢見がちな設定に堪えきれず徐々に重苦しい韓国社会を揶揄し始める

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