MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-08-05 to 1 day

「ディエゴとフリーダ」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家メキシコ壁画運動を代表するカップルの叙事詩的研究評伝2度の堕胎と壮絶な人生の女流画家フリーダ=カーロロックフェラーに喧嘩を売り共産主義やトロツキーを擁護した画家ディエゴ=リベラ…

「アルマ」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家モーリシャス島アルマに導かれる連作短編梅毒で鼻を失い忌避されドードーと揶揄われる男パリで父の蒐集品の砂嚢を見つけ絶滅したドードー研究者になる男同じ一族の末裔2人が邂逅砂糖黍畑の…

「雲の人びと」

ジェミア&ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家ベルベル部族出身の妻との共著現地を徹底調査し著作には史実や植生まで再現する著者のモロッコ紀行文接点の薄い砂漠の民は雲の上の人に違いない都市化の進む現代に対し自然や伝…

「鉄の時代」

ジョン=マクスウェル=クッツェー著ノーベル賞南アフリカ作家読書会のため再読娘の渡米で孤独な元ラテン語教師で末期癌の老女彼女を金ヅルにする黒人ホームレスアパルトヘイト以前に警察や黒人間でも凄惨な暴力古代ギリシア”鉄の時代”娘への手紙を黒人に託…

「飢えのリトルネロ」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家枢軸国に感化されファシズム台頭を許すフランス人が戦争に巻き込まれ抵抗し破壊する過程を少女視点で描く“奇妙な戦争”いつ襲われ毟られるか分からない歴史は繰り返しボレロはリトルネロ(伴…

「隔離の島」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家モーリシャス(7割インド系)+「ペスト」+インド大反乱+詩人ランボー+「ポールとヴィルジニー」これで面白くない訳がない天然痘発症隔離の島40日サバイバル美しい自然と先祖の記憶が交錯し青…

「砂漠」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家19世紀アルジェリアフランスに侵略され滅亡するベルベル諸部族現代フランス部族末裔の少女は村を抜け暴力の街マルセイユでモデルへ異国2世代を五感に訴える表現で呪術神話世界へ昇華西洋文…

「戦争」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家初版1970年(50年前)画一化と金属とアスファルトに侵されていく現代文明を揶揄学歴戦争貿易戦争IT戦争武力を交えるだけが戦争ではない日常に潜む狂気と破壊と淘汰意識に葛藤し無意識に焦燥…

「はじまりの時 下」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著 ノーベル賞フランス作家ナポレオン流刑と共に植民地へ四散したフランスの少数民族の祖先唸る革命“はじまりの時”現代モーリシャスで祖先の歴史を紐解く少年アルジェリア独立戦争メキシコ革命パリ五月革命3度の恋…

「はじまりの時 上」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家祖先と自身の生涯を描く半自伝「黄金探索者」続編フランス革命でモーリシャスに移住したケルト系の祖先モーリシャスの祖母が語る戦争と西洋文明の悍ましさ200年の時を超え2話が交錯し帝国…

「海を見たことがなかった少年」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家8短編集少年少女の青春は冒険と好奇心が埋め尽くしていく子供にとって地平線は可能性を示す碧い海白い雲黄色い太陽緑の樹木過ぎ去る景色は一瞬で永遠で気付けば世界は色彩で満ち溢れていた…

「パワナ」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家世界遺産”エルビスカイノ鯨保護区”通称”パワナ”先住民語で”鯨”ペリーも鯨油目的で開国を迫った捕鯨全盛の19世紀潟湖は出産期の鯨の血と鮫と鯱で溢れたエイハブ船長気取りの略奪者と戦った…

「嵐」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家2中編“嵐”目前の強姦を咎めず妻も自殺した韓国済州島で黄昏れる老欧米人海女と彼に惹かれる少女通り過ぎる潮風と一夏の追憶“わたしは誰?”ガーナの父なし娘はフランスで養女へ医師になりガ…

「春 その他の季節」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家季節に肖る5中短編集異国に住む人々を季節と異文化の交錯に絞って描写エキゾチックとノスタルジー老人と少女海と大地独白と会話対極概念とその境界を探る旅“春”“幻惑”“時は流れない”“ジン…

「心は燃える」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家7中短編集表題作がほぼ煉獄さん自身の移民・移住体験から海と冒険と異文化を繊細に描く大人と子供の狭間を歩く少女が眩しい“心は燃える”“冒険を探す”“孤独という名のホテル”“三つの冒険”“…

「偶然/アンゴ=リマーラ」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家2中編“偶然”終活に入る老映画監督青春盛りの少女出会いと別れ帆船アザールは2人を乗せ廃船まで世界を直走る“アンゴ=リマーラ”パナマ民話を軸に仏陀に似た運命の男が洞窟で覚醒する若者の…

「大洪水」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家情報の”大洪水”に渦巻き溺れる現代社会あてどなく都会を彷徨う男太陽に目を灼き自由を得る日常の裏の狂気が男を精神崩壊させる詩的抽象的散文閃光濁流燃焼大洪水に始まる神話大洪水で完成…

「アフリカの人」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家父は”アフリカ人”だった生地モーリシャス(仏領→英領→独立)幼少期ナイジェリア(内戦)青年期フランス南部(ルノードー賞)アフリカに育ち西洋文明を鳥瞰帝国主義を異質な自存在から敷衍批判す…