MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-02-27 to 1 day

「通達/謁見」

ヴァーツラフ=ハヴェル著チェコ大統領・劇作家ビロード革命立役者にして不条理演劇作家2戯曲“通達”人工言語”プティデベ”導入を巡る局長と局員の混乱共産主義官僚の愚政を揶揄“謁見”文才な部下に取引を伝えるがグダるビール工場醸造長の飲みニュケーションに…

「獄中シェクスピア劇団」

マーガレット=アトウッド著カナダ作家再読有望な劇作家は刑務所の劇指導者に左遷見返すべく女優と素人囚人を徹底指導しシェクスピアの代表作「テンペスト」を上演囚人の演じる個性的なキャラと古典への想い囚人劇は成功するのか…?劇の作成〜裏方と細部の設…

「スモモの木の啓示」

ショクーフェ=アーザル著イラン作家国際ブッカー賞最終候補革命前後2章が交代進行する魔術的リアリズムスモモの木で啓示を受けゾロアスター教徒の村に逃れる一家風紀警察ジングールホメイニ独裁人魚化呪術師革命と「千一夜物語」やイラン史を絡め揶揄した幻…

「ビトナ ソウルの空の下で」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家田舎の貧困少女ビトナ18歳は老女サロメにバイトで自作の物語を披露する謎のストーカー出現で少女は自己を物語に重ね始め…?韓国の抱える若者自殺・学歴戦争・都市の孤独を描く入れ子構造の…

「謎の海洋王国ディルムン」

“2つの海”の名を冠するバーレーン古代名ディルムン世界遺産”世界最大の古墳群ディルムン”で有名日本の養殖成功以前は真珠の世界供給9割で砂漠ながら豊かな湧水の灌漑農業インダスとメソポタミアの仲介貿易で繁栄を古墳群史から分析アラム人侵入を経てバビロ…

「境界なき土地」

ホセ=ドノソ著チリ作家圧倒的財力で町を牛耳る大富豪ドン・アレホ彼の経営下のバー兼娼館に集う異端者たちの夜宴“ドン・ファン”宜しく街の子は彼の近親相姦と噂されるヒロインに待つ不条理な破滅異常者を正常者に見せかける著者の”整美なグロテスクさ”が狂…

「ノートル=ダム・ド・パリ」

ヴィクトル=ユゴー著フランス作家220Pダイジェスト版ノートル=ダム”貴婦人”慣例語で”聖母マリア”昨年は火災を被ったシテ島に聳える大聖堂ジプシーの芸妓美少女教会副司教美形の夜警隊長聾者の鐘撞き美少女の誘拐に始まる愛憎渦巻く15世紀末パリの”人間悲劇”

「母を燃やす」

アヴニ=ドーシ著インド系アメリカ作家ブッカー賞最終候補作介護の実態をインド文化と絡めた介護文学愛人や育児放棄と奔放だった母加齢で画家娘の絵やアトリエを燃やす認知症に母の生気の源=糖分を燃やす親不孝な娘子育てに過干渉する義家族長寿時代の複雑な…

2/1-2/23 “新潮文庫版”三島由紀夫祭

これにて全35作品読了45歳23年の多作で豊作な作家生活を堪能できた他文庫版は未読なので4月頃にまた”第2回三島祭”を計画中!読破したら珍しく長めの感想をUPしたい…!新潮文庫版の個人的Best5(順不同)「音楽」「潮騒」「金閣寺」「豊饒の海」「鏡子の家」