MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「太平洋の防波堤」

マルグリット=デュラス著
フランス領インドシナ出身フランス作家
半自伝
植民地ドリームを追いカンボジア移住した白人一家
しかし役人に騙され破産し現地富裕層の婿入りに縋る母
抵抗し脱出を試みる娘と弟
植民地下階級の描写が上手い
白人優越主義と共に決壊する”太平洋の防波堤”

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前作「愛人」と同じ設定で反対の粗筋
要は書き足りない箇所を蒸留した作品

支配者と被支配者の二項対立を重層的に進めることで植民地の白人間や現地人の微細な階級に正確に描くことに成功している
人は見下す時に最も正直になる
生得的優越感を持つ白人の母が狂奔する過程がリアル
実体験ゆえの説得力