MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-09-14 to 1 day

「親衛隊士の日」

ウラジーミル=ソローキン著ロシア作家2028年中世的暴力を振るうウクライナ侵攻を予期したかの様な近未来ロシア帝国化で絶大な権力を振るう”親衛隊士”中国への経済的従属化と漢字母語化富裕層迫害と公開処刑魚の大量跋扈と呪術的儀式の復活権力の暴走した日…

「スクイズ・プレー」

ポール=ベンジャミン(オースター)著アメリカ作家私立探偵×ハードボイルド×野球×ミステリ5年前に事故で引退した元MLB伝説の選手が政界進出直線に暗殺暗躍するマフィア誘惑する女“走者=犯人”は誰か?“打者=動機”は何か?スキャンダルの間隙を突く”スクイズ・…

「愛人(ラマン)」

マルグリット=デュラス著フランス領インドシナ作家家庭崩壊ゆえ15歳で華僑の男との性と愛に目覚める過程を描く半自伝植民地支配側の白人だが事業失敗で貧困化した少女は悦楽に幸を見る私小説ながら1〜3人称を駆使し読者を巧みに共感させる独特なアジア描写…

「テレーズ・デスケルウ」

フランソワ=モーリヤック著ノーベル賞フランス作家三島由紀夫「愛の渇き」と遠藤周作「深い河」のモデル作デスケルウ家令嬢の夫殺し親族は世間体を保つため事件を隠蔽し彼女を幽閉するが…地方名家の妻として振舞う事のみ要求された70年前の女の葛藤・屈辱・…

「こころ」

夏目漱石著再読(高校の授業以来)“君ね…恋は罪悪ですよ…!”隠居インテリの先生に惹かれた東大生徐々に告解される先生と友人Kとお嬢さんの三角関係1部:邂逅2部:接近3部:遺書(先生の内的独白)嫉妬・焦燥・褒貶・偽善・毀誉・喪失…罪悪に塗れた恋の代償は”こころ…

「狩場の悲劇」

アントン=チェーホフ著ロシア作家“詩的な赤いワンピースの娘との出会いが夥しい犠牲者を出した…”狩場で起きる予期せぬ悲劇とfemme fatale“短編の名手”唯一の長編+唯一の小説内小説+唯一のミステリの例外的作品前半=恋愛心理群像劇後半=某ミステリと同じ仕掛…

「無慈悲な昼食」

エベリオ=ロセーロ著コロンビア作家各曜日に対象者へ無償昼食を振舞うボゴタ教会死んだふりも虚偽告解も厭わない貧困者が屯する毎日一方で賄賂と性欲に塗れた聖職者の偽善の仮面も剥がれていく内戦で貧困化した下流層の言動の醜さvs権力に媚びて腐敗した上…