MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-12-20 to 1 day

「サルガッソーの広い海」

ジーン=リース著ドミニカ国作家ブロンテ「ジェイン・エア」前日譚脇役のカリブ出身発狂幽閉女性は著者の半生と重なる奴隷解放後も”白い黒んぼ”が支配するジャマイカ迫害の末に英国紳士に嫁ぎ渡英するがそこでも異文化と階級制度に押し潰されていく…植民地文…

「灯台へ」

ヴァージニア=ウルフ著イギリス作家スコットランド離島スカイ島に住む一家僅か2日の平凡な日常を走馬灯で増幅させ戦争前後の10年の記憶を物語にするウルフは”波”が似合う作家多声的な意識の流れを初めて確立した無意識に着目したフロイト心理学勃興期と同時…

「わたしのペンは鳥の翼」

アフガニスタン女性作家アンソロジー23短編集伝統に帰し女性を教育から排除した低識字率国家悲惨な現状を侵略敵国のロシア語や英語で世界に発信する利己的な理由で国土を蹂躙され貧困と冷笑され政権に命を狙われるそれでも尚ペンは離さない少しでも多くの方…

「クレムリンの魔術師」

ジュリアーノ=ダ=エンポリ著フランス作家・比較政治学者“皇帝”プーチンを見出した“クレムリンの魔術師”に迫るほぼNFウクライナ侵攻を予見(世紀末から準備)学者目線の明晰な語りがリアル利用された欧米とオリガルヒ現代版「君主論」と言える権謀術数クレム…

「パラディーソ」

ホセ=レサマ=リマ著キューバ作家・詩人共産主義国家軍人とその一族2家族5世代に及ぶサーガヨーロッパ文化を中心に世界史・神話・文学史・科学・芸術・政治思想を革命前のキューバ視点で語り尽くす錯綜的・写実的・詩的・幻想的…先駆的かつ非常にラテンアメ…

「複雑な彼」

三島由紀夫著著者史上最も国際的な作品(モデル:安部譲二)美貌の男性国際線客室乗務員に一目惚れした令嬢英国地下格闘技?スパイ?ブラジルのカリオカ?ゲイバー?井戸堀?様々な噂の絶えない魅力的な彼一方で謎に包まれた半生が明かされていく名家令嬢と”複…

「棟梁・ラーヤー」

ニコス=カザンザキス著ギリシア作家・戯曲家1戯曲1エッセイ“棟梁”中世東欧随一の橋棟梁街1番の名士の父とその美人娘棟梁と娘は恋に落ちるが名士の反対に遭い婚約できないなら建設中の橋の人柱になると忿懣するが…?“ラーヤー”近代的視点によるギリシア悲喜…

「破局」

遠野遥著芥川賞受賞作(ロックバンドBUCK-TICK櫻井敦司の実子)日本男子学生版アニー・エルノーという感じの作品公務員試験才色兼備の彼女高校ラグビー指導筋トレと自慰満たされたはずの大学生活1人の無垢なfemme fatale少女との1度のセックスが人生を狂わせて…

「文化防衛論」

三島由紀夫著3エッセイ集“反革命宣言”“文化防衛論”“学生とのティーチイン”最近の防衛費倍増や自民党暴走現在は米国に加え中韓の”資本という名の賄賂”が政治家に払われ国民の為の政策を歪ませる55年前の三島が現代の政治を最も予見している誰より未来が見えた…