MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-06-26 to 1 day

「街と犬たち」

マリオ=バルガス=リョサ著ノーベル賞ペルー作家27歳の半自伝処女作にしてラテンアメリカ文学ブームの嚆矢“軍校教官と生徒=犬”の壮絶な腐敗官能作家”文屋”虐待児”奴隷”巨漢”ジャガー”中尉”ガンボア”娼婦”金足姫”試験盗難に始まる密告と暴力と規律崩壊が導く…

プラムディヤ=アナンタ=トゥール全8冊読破記念総書評

インドネシア写実主義の文豪勾留先ブル島で資料0から書き上げた3000Pもの大著「ブル島4部作」第一次&第二次大戦に翻弄される植民地の祖国を支配者と被支配者の双視点で緻密に分析更に西欧文明の野蛮性を批判しインドネシア伝統文化を礼賛する

「日本軍に捨てられた少女たち インドネシアの従軍慰安婦悲話」

プラムディヤ=アナンタ=トゥール著インドネシア作家日本政府の圧力で発刊妨害を受けた本ノーベル賞候補作家が訴える日本軍の従軍慰安婦ルポ名を変えた少女毎日10人に犯された少女“被爆国”を宣う前に”戦争犯罪”も忘れてはならない

「ブル島4部作」読破記念総書評

ブル島流刑勾留中の年間に書き上げた計3000Pの大著「ブル島4部作」島嶼国ゆえ各島の部族制が強く国民国家形成が難航したインドネシア400年のオランダ支配から民族運動の覚醒〜反乱を2主人公体制で描く現地人・外国人・女性・多階級・多文化と時空間共に壮大…

「ガラスの家」

プラムディヤ=アナンタ=トゥール著インドネシア作家ブル島4部作4章前作までは独立の英雄譚今作は英雄の宿敵”植民地秘密警察”の道を選んだ現地人幼き日に袂を分けた2人同じ過去違う未来透明な劈開面に亀裂が走る”ガラスの家”“オランダ領東インド”が”インド…

「足跡」

プラムディヤ=アナンタ=トゥール著インドネシア作家ブル島4部作3章第2の妻も失い医学生となる青年日露戦争の日本勝利による革命組織の萌芽第3の妻と民族誌発刊に成功し宗主国政府に警戒され始める青年“民族主義の母”イスラーム商業同盟結成国民国家形成の”…

「すべての民族の子 下」

プラムディヤ=アナンタ=トゥール著インドネシア作家正妻の息子で”ボーア戦争の英雄”が海軍として赴任一触即発のオランダ人vs現地人(プリブミ)ディポネゴロの乱アチェ戦争島嶼と方言の垣根をイスラームが結集へ導く独立と革命運動に目覚め胎動する”すべての…

「すべての民族の子 上」

プラムディヤ=アナンタ=トゥール著インドネシア作家ブル島4部作2章連行された妻の訃報義母と協力しオランダ語ではなくマライ語運動を開始した青年製糖工場の搾取本国正妻によるニャイ(現地妻)の全財産剥奪清朝華僑革命家との邂逅めでたく“第2の妻”となる姪…

「人間の大地 下」

プラムディヤ=アナンタ=トゥール著インドネシア作家農場経営で成功したニャイ(現地妻)だが植民地制度に家族を蝕まれる主人公青年:白人嫉妬で学業迫害妻:農場剥奪・愛人強制美人娘:オランダ連行息子:娼館勧誘→薬物中毒死踏み締める”人間の大地”踏み躙られる…

「人間の大地 上」

プラムディヤ=アナンタ=トゥール著インドネシア作家ブル島4部作1章1898年オランダ領インドネシア(東インド)ジャワ島ジャカルタ強制栽培制度で疲弊する国民オランダ人現地妻の娘である混血美女国の次席ながら白人社会で理不尽に差別されるジャワ人エリート…

「ゲリラの家族」

プラムディヤ=アナンタ=トゥール著インドネシア作家第二次大戦後ジャワ島ジャカルタ大日本帝国の侵略を退けオランダからの独立宣言をしたインドネシア親オランダ派vs反オランダ派vs反政府派4人兄弟と家族の分裂悲痛なゲリラを戦った者達が語る現代インドネ…

「国民とは何か」

エルネスト=ルナン著フランス歴史家・政治史家・古典研究家本文40P+解説40P“国民とは何か?”“ナショナリズムとは何か?”近代黎明期の”フランスのフィヒテ”東洋蔑視も見られるが総じて鋭い国民国家論“ローマ〜フランク王国〜諸国民の春”の政体変遷史は現代日…

「ティンブクトゥ」

ポール=オースター著アメリカ作家主人公は…飼い犬!?余命わずかな売れない詩人の主人の元で冷静に”犬目線”で人間観察する犬のユーモラスな語り“犬だって人類と生きるのは大変さ!”犬にとっての桃源郷中世アフリカ西部マリ帝国”黄金の都”ティンブクトゥは何…

「ボタン穴から見た戦争」

スヴェトラーナ=アレクシェーヴィッチ著ノーベル賞ベラルーシ作家101短編集人口の1/4が死んだ第二次世界大戦期ベラルーシ当時15歳以下だった子供たちの証言集圧倒的暴力の前に”ボタン穴から覗くことしか出来なかった子供たち”戦争とは何か?1つの答えを教え…