MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「パニック・裸の王様」

4中編 全作とも集団と個人の社会関係批判 “パニック” 鼠害跋扈vs正義の公務員vs腐敗権力 “巨人と玩具” キャラメル製造の競争社会揶揄 “裸の王様” 芥川賞受賞作 子供の絵画教室に枷を作る大人と無責任な子供の教育現場批判 “流亡記” 秦始皇帝の長城強制労働と匈奴への遊牧的憧憬 いずれも世界観が大きく本質的に長編やノンフィクション向きのテーマだが敢えて要点を絞り短編に縮めている

観察力が鋭く且つプロットも盤石なため”集団vs個人”の構図さえあればいくらでも応用できる

実際に本書内だけでも古代封建的皇帝制・芸術徒弟制・工場労働制・近代官僚制と幅広く実験している