MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「欠落ある写本」

カマル=アブドゥッラ著
アゼルバイジャン古典学者・作家
15世紀テュルク英雄叙事詩「デデ・コルクトの書」
冒頭と結末が不鮮明な発掘写本を著者が想像補完
サファヴィー朝イスマーイール1世がチャルディラーンで戦死し王の影武者が君臨(史実では生存)
スパイ探索する審問官との対峙

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古典のリライトや付け足しは鉄板
だが欠落箇所を補完して虚構を加え且つ物語としても成功した作品は類例がない
古典や古文の能力も必要

謂わば彫刻「ミロのヴィーナス」の欠けた両腕を誰もが唸る完成度に仕上げた感じ

サファヴィー朝アゼルバイジャン民族キジルバシュ+黒羊朝+白羊朝が建てた王朝