MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-12-18 to 1 day

「デカメロン・プロジェクト」

短編29集世界最高の作家はコロナ禍をどう捉えたのか?NY Times企画の北米作家中心の”現代版「デカメロン」”アンソロジー新人賞総ナメの若手からノーベル賞候補まで豪華な布陣ロックダウンやマスク義務化などSFにエスニシティまで多彩な題材で世界各都市を舞…

「ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編」

村上春樹著初め無関係に見えた意外かつ怒涛の伏線回収妻失踪の真実を語る”クロニクル”甦るモンゴル兵”皮剥ボリス”の残虐性ナツメグとシナモンの手を借り野球バットを携え”鳥を刺す決戦”へ著者には珍しく”主人公の成長”と”裏社会の政治的圧力”もテーマ

「ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編」

村上春樹著 “朝顔の蔓の絡まりの音はねじまき鳥に聞こえる”謎の予言通りに進む日常妻の行方を追う中で”隠蔽された政治史”が浮上戦争の記憶と妻の一族との関係とは?“来る者拒まず去る者追わず”全ては歴代居住者が悲運を遂げる”宮脇屋敷”に収斂しゆく

「ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編」

村上春樹著頬にアザと怪体験が出現する平凡無職者トオル妻クミコと猫の失踪心身に傷を持つ少女メイ謎の露出美女姉妹マルタ&クレタ妻の兄で経済学者畑の気鋭政治家ノボル帰還軍人の間宮井戸の先の不思議な世界走馬灯する日中戦争の意味とは…?

「ホワイトティース 下」

ゼイディー=スミス著 ジャマイカ系イギリス作家戦後ロンドン移民街50年の変遷を描く大戦を経験した勤勉な親世代ドラッグや非行に暮れる子世代科学技術やヴィーガンに目醒める孫世代宗教・民族・食・環境問題・歴史・科学インド大反乱からジャマイカ地震まで…

「ホワイトティース 上」

ゼイディー=スミス著ジャマイカ系イギリス作家人は髪も肌も眼も色が違うでも”白い歯”は共通カオス&コミカルな下町ロンドン移民サーガ•ジャマイカ移民エホバ信者•パキスタン移民ムスリム•ユダヤ富豪家(親)帰還軍人世代↓(子)遺伝子工学徒+原理主義者+ヴィーガ…

「魔術師の谷」

カマール=アブドゥッラ著アゼルバイジャン作家テュルク叙事詩”デデコルクト”が軸の「オイディプス」+「マクベス」+ “スーフィズム”的復讐サーガアゼーリ族キジルバシュ建国のサファヴィー朝のシャーに仕える処刑人父を殺した母に復讐を誓い霊と魔術師の力を…

「狭き門」

アンドレ=ジッド著ノーベル賞フランス作家どうしてだろう?美しき従姉妹と愛し合い祝福に囲まれるきっとそれだけで幸せだったのにね恋して苦しんだ愛して傷付けた“狭き門を抜けるとそこは憂国だった”信仰と美徳に思い出が色褪せてしまう前に悲哀の慟哭は尚…