MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-02-14 to 1 day

「鯨」

#一日一編6作目ポール=ガデンヌ著フランス作家巨大な白鯨が海岸に漂着する珍事に遭遇する男女カップル騒つく海岸の住人たち(メルヴィル「白鯨」を意識?)UFOの残骸に遭遇した感覚で色々と妄想や同情を膨らませていく会話が面白い生命を終えた鯨と人生がまだ…

「すべての白いものたちの」

ハン=ガン著韓国作家・詩人“白ってな…200色あんねん”戦火で灰燼に帰した街を再現したワルシャワ白紙からの恢復私と姉の追憶煙光絹羊乳雪羽米波骨霙鏡粥蝋歯泡雲鶴砂月塩鴎綿霜氷翼“真っ白なものは汚したくなる”すべての白いものたちを

「ねずみ」

#一日一編5作目ヴィトルド=ゴンブローヴィチ著ポーランド作家街を震え上がらせ殺しも厭わずその強面をもって我が物顔で闊歩する女たらしの民話的豪傑の大男一方で”ねずみ”がトラウマ級に苦手というド◯えもんみたいな弱点を持つ物理的・心理的に大小のサイズ…

「ミゲル・ストリート」

ヴィディアダハル=スラヤプラサド=ナイポール著ノーベル賞トリニダード=トバゴ作家17連作短編集再読島の愉快な仲間が集うミゲル・ストリート貧しくも陽気で哀しくも愛おしい人々感受性豊かな語り手”僕”の成長と旅立ちまで私も本書を読んでこの国に行きた…

「ビラブド」

トニ=モリスン著ノーベル賞アメリカ作家南北戦争直後の南部飢えの果ての嬰児殺し悔やむ元黒人奴隷女は逃避した屋敷で赤子の霊に魘される漸く祓った家族の前に嬰児と同じ名の謎の少女ビラブドが現れる世界史上最大の非道を美しき口承文化で謳い甦らせる“同胞…

「トロイの馬」

#一日一編4作目レーモン=クノー著フランス作家ありきたりな田舎町の雪降るバーお客様は…常連と…会計係女と…普通のカップルと…馬…?酒を飲んで血族を自慢しジンフィズをガブ飲みし客の一言で勘違いし憤り愚痴るシュールな光景をそうとは感じさせず日常的に見…

「ギンプルのてんねん」

#一日一編3作目アイザック=バシェヴィス=シンガー著ノーベル賞アメリカ亡命ユダヤ系ポーランド作家現代的宗教説話サレ妻に遇らわれる鈍感な夫周りに馬鹿にされていた事を妻の死に目に気付くが…?鈍間な夫の描写は”笑える”だがそれを”嗤える”人間は差別者を…

「賜物」

ウラジーミル=ナボコフ著ロシア作家超絶技巧の半自伝1章:著者のロシア文学&詩論(亡命後)2章:著者幼年期回顧+中央アジア&蝶研究者の父の伝記執筆(挫折)3章:チェスプロブレム作成+小説内小説執筆+恋愛4章:小説内小説「チェルヌイシェフスキー伝記」5章:伝記出…

「ネパール女性作家選」

19短編集ネパール女性作家アンソロジー典型的ヒンドゥー教山岳国家世界最低レベルの貧困も相まって当然だが男尊女卑は否めないだからこそ厳しい自然や伝統に揉まれて生きる女性は強く逞しいネパール女性の苦悩と恋愛観と社会を多彩な作家が多様なテーマで問…