MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「賜物」

ウラジーミル=ナボコフ
ロシア作家
超絶技巧の半自伝
1章:著者のロシア文学&詩論(亡命後)
2章:著者幼年期回顧+中央アジア&蝶研究者の父の伝記執筆(挫折)
3章:チェスプロブレム作成+小説内小説執筆+恋愛
4章:小説内小説「チェルヌイシェフスキー伝記」
5章:伝記出版後の批評家反応+祖国亡命

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人生の集大成的小説
執筆時37歳で享年は77歳
早過ぎるがそれでもやはり集大成なのだ

だから「賜物」を最後に以後ロシア語を捨て英語で創作した

ナボコフにとり訣別と始まりの作品
ラストは亡命作家の決意表明

「ロリータ」等の後続作の断片も登場

1章=1作に匹敵しながら1つのビルドゥングスロマンに纏め上げた密度濃い作品