MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-09-06 to 1 day

「天空の家」

イラン女性作家7短編集イスラーム革命後に男女隔離が進行で逆に女性が奮発し社会進出を果たしたイラン大学生の7割が現在は女性で世界的作家も多出している男権主義・亡命・児童婚・イスラーム法治主義中東の大国が抱える矛盾と誇りを炙り出す毎度の事だがイ…

「八面体」

フリオ=コルタサル著アルゼンチン作家前期8短編+後期3短編日常を描きながら違和感とホラーを抱かせる”八面体”的視点“そこ-でも-どこ-どんなふうに”“リリアナが泣く”“シルビア”“ポケットに残された手記”“夏”“キントベルクという名の町”“セベロの諸段階”“黒猫…

「孤児」

ファン=ホセ=サエール著アルゼンチン作家航海でインディオの襲撃に遭い自分以外全滅した水夫原住民の村での同化と抵抗の狭間を生きた10年酒池肉林のカニバリズムが日常の中で世界認識を根底から覆す西洋的社会復帰後も身に染み付いた”デフ・ギー”のリズム…

「溶ける街 透ける街」

多和田葉子著ドイツ・日本作家新聞に連載されたヨーロッパ中心の世界周遊48都市のエッセイ溶ける国境透ける文化圏芥川賞受賞後ドイツ在住の著者が送る旅の気付きを凝縮本と旅はセットだと更に面白い各地で自作の詩や文学の朗読を行い自然や文化を堪能する充…

「祖国 下」

フェルナンド=アラムブル著 バスク作家ピカソ「ゲルニカ」はヒトラーの爆撃試験の為にフランコが提供したバスクの街殺された経営者立ち上がる労働者全身付随の娘バスク語アナウンサーの弟テロ容疑で服役する兄負傷者を看る医師理由は違えど皆が祖国と家族の…

「祖国 上」

フェルナンド=アラムブル著バスク作家誰しも”祖国”があるだが”国家”もそうとは限らない“なぜ人を殺すより謝罪する方が難しいのだろう?”殺す側と殺された側雇った側と雇われた側2家系9人の語り手テロをも厭わぬETAのバスク独立運動守ろうとする程に引き裂か…

「百年の孤独」

ガブリエル=ガルシア=マルケス著 ノーベル賞コロンビア作家年1で再読(4度目)私をラテンアメリカ及び世界文学へ導いた原点物語そのものが歴史といえる巨大かつ緻密な作品人は本質的に孤独だからこそ縒って求めて交わる架空の街マコンドに棲むブエンディア一…

「愛・ファンタジア」

アシア=ジェバール著アルジェリア作家往々にして歴史は歓声を記録し悲鳴を消去する1830-1962アルジェリア占領〜独立有象無象の男女の声ドラクロワ「アルジェの女たち」ベートーヴェンの調べに乗せた詩的音楽的文章膨大な歴史学識愛を嘆き糾弾する”ファンタ…