カマル=アブドゥッラ著
アゼルバイジャン古典学者・作家
15世紀テュルク英雄叙事詩「デデ・コルクトの書」
冒頭と結末が不鮮明な発掘写本を著者が想像補完
サファヴィー朝イスマーイール1世がチャルディラーンで戦死し王の影武者が君臨(史実では生存)
スパイ探索する審問官との対峙
古典のリライトや付け足しは鉄板
だが欠落箇所を補完して虚構を加え且つ物語としても成功した作品は類例がない
古典や古文の能力も必要
謂わば彫刻「ミロのヴィーナス」の欠けた両腕を誰もが唸る完成度に仕上げた感じ
イサベル=アジェンデ著
チリ作家
23連作短編集
同著者長編作「エバ・ルーナ」のスピンオフ
短編ながら数十年の期間を扱い著者得意のマジックリアリズムと相性が抜群
エバの話の形もキャラも「千一夜物語」のシェヘラザードを踏襲
南米社会の奇跡から日常まで多彩な人々を描く
以下収録作
“2つの言葉”
“悪い娘”
“クラリーサ”
“ヒキガエルの口”
“トマス・バルガスの黄金”
“心に触れる音楽”
“恋人への贈り物”
“トスカ”
“ワリマイ”
“エステル・ルセーロ”
“無垢のマリーナ”
“忘却の彼方”
“小さなハイデルベルク”
“判事の妻”
“北への道”
“宿泊客”
“人から尊敬される方法”
“終わりのない人生”
“つつましい奇跡”
“ある復讐”
“裏切られた愛の手紙”
“幻の宮殿”
“わたしたちは泥で作られている”