MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「雲をつかむ話/ボルドーの義兄」

多和田葉子
ドイツ・日本作家
2長編
“雲をつかむ話”
著者の実体験を基にハンブルグで出会った”犯罪人”と記憶の断章が導く言語サスペンス
ボルドーの義兄”
約100字の反転漢字を章題に置いた連作短編式長編
表意文字の漢字と表音文字の欧米語を駆使した”意識の流れ”

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「青い脂」

ウラジーミル=ソローキン著
ロシア作家
7体のロシア文豪クローンが分泌する”青脂”争奪戦
時空を超えてスターリンvsヒトラーの東西分割世界に届く”青脂”
宇宙規模のエログロナンセンス蘊蓄
2大独裁者の決戦は予測不能な結末へ
個人的にも過去に読んだ全小説中で最も飛び抜けて”ヤバい”小説

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「青い眼がほしい」

トニ=モリスン著
ノーベル賞アメリカ作家

青い眼がほしい
あなたが思わず見惚れる様な

青い眼がほしい
溢れる涙を吸い込む深い海の様な

青い眼がほしい
黒人には見えない様な

青い眼がほしい
母が街中に自慢できる様な

青い眼がほしい
自由を讃える青空の様な

美しく澄んだ”青い眼がほしい”

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「ある島の可能性」

ミシェル=ウェルベック
フランス作家
蝕むだけの人間という家畜が1匹残らず駆逐された未来の地球
“2000年後の君から”届くクローンの静かな叫び
老い・愛・永遠…
人が欲求し失い続ける肉体との闘争を現代と未来の2話交錯で描く
国際競争と僕の戦争
息苦しい世に求める自由の理想

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「薔薇とハナムグリ」

アルベルト=モラヴィア
イタリア作家
15短編集
自身の才能は勿論3度の結婚の内2人はノーベル賞候補級の作家エルサ・モランテとダーチャ・マライーニという遍歴
絵画的日常を切り取ったシュールで繊細な描写とオチ
更に肉体・性・近親・愛人と自身の遍歴と同じ”愛”の多角的分析

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収録作
“部屋に生えた木”
“怠け者の夢”
“薔薇とハナムグリ
“パパーロ”
“清麗閣”
“夢に生きる島”
“ワニ”
“疫病”
“いまわのきわ”
“ショーウィンドウのなかの幸せ”
“二つの宝”
“蛸の言い分”
“春物ラインナップ”
“月の<特派員>による初の地球からのリポート”
“記念碑”

「ヴァインランド」

トマス=ピンチョン著
アメリカ作家
カリフォルニアのヤク漬け生活保護
麻薬捜査官が掻き乱す日常に思い出すは妻子の遍歴
ニクソン傍観レーガン暴漢
フェフ姉さんのRock 'n' roll共和国独立☆
東京”くノ一館”にお色気のろけ♡
ベガスで賭け負けシャブSEX?
人生Gamble & Groovy!

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「ヨーロッパ覇権以前 下」

マムルーク朝覇権とペスト禍
北インド中継貿易
南インド季節風貿易
香辛料貿易の蜜を逃すインド
東南アジア港市国家の盛衰
日本の元寇撃退
宋〜元代人口比率の変化(河北1:江南9)
モンゴル帝国”世界の一体化”
ティムール帝国の破壊
ポルトガル新航路発見
暗黒の中世の夜明け

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