MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-05-02 to 1 day

「薔薇とハナムグリ」

アルベルト=モラヴィア著イタリア作家15短編集自身の才能は勿論3度の結婚の内2人はノーベル賞候補級の作家エルサ・モランテとダーチャ・マライーニという遍歴絵画的日常を切り取ったシュールで繊細な描写とオチ更に肉体・性・近親・愛人と自身の遍歴と同じ”…

「ヴァインランド」

トマス=ピンチョン著アメリカ作家カリフォルニアのヤク漬け生活保護男麻薬捜査官が掻き乱す日常に思い出すは妻子の遍歴ニクソン傍観レーガン暴漢フェフ姉さんのRock 'n' roll共和国独立☆東京”くノ一館”にお色気のろけ♡ベガスで賭け負けシャブSEX?人生Gambl…

「ヨーロッパ覇権以前 下」

マムルーク朝覇権とペスト禍北インド中継貿易南インド季節風貿易香辛料貿易の蜜を逃すインド東南アジア港市国家の盛衰日本の元寇撃退宋〜元代人口比率の変化(河北1:江南9)モンゴル帝国”世界の一体化”ティムール帝国の破壊ポルトガル新航路発見暗黒の中世の夜…

「ヨーロッパ覇権以前 上」

ヨーロッパ覇権以前の近代世界システムを分析ジェノヴァ黒海奴隷貿易と大航海への序章ヴェネツィア東方貿易の遺産と限界シャンパーニュ定期市ササン朝の銀行システムフランドル絹織物の世界進出銀本位制のヨーロッパ金本位制のイスラーム銅銭の宋兌換紙幣の…

「ウォーターダンサー」

タナハシ=コーツ著アメリカ作家南部奴隷制社会“水の踊り子”の母と白人の下に生まれ記憶力抜群ながら母の記憶だけ喪失した黒人奴隷逃亡と収監の後タブマン率いる黒人奴隷解放結社”地下鉄道”の幹部へ静かに波紋する日常と檄流の如き地獄水瓶と涙に濡れた母の…

「東方綺譚」

マルグリット=ユルスナール著ベルギー作家9短編集古代中世期バルカン〜中国の東洋史の伝説・伝承譚“老絵師の行方”“マルコの微笑”“死者の乳”“源氏の君の最後の恋”“ネーレイデスに恋した男”“燕の聖母”“寡婦アフロディシア”“斬首されたカーリ神”“コルネリウス…

「エミリーに薔薇を」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家8短編集全作ヨクナパトーファサーガのスピンオフ血生臭いアメリカンドリームの裏側の南部史を語る“赤い葉”“あの夕陽”“女王ありき”“エミリーに薔薇を”“過去”“ウォッシュ”“デルタの秋”“中上健次 フォークナー…

「ウダイ・プラカーシ選集」

ウダイ=プラカーシ著インド作家3短編集インド歴代偉人への言及が多いのが特徴“ティリチ”毒トカゲ伝承にまつわる騒乱“ポール・ゴームラーのスクーター”インテリが乗るスクーター越しに見るインド伝統村社会“そして最後に祈りを”今も息づく宗教や文化の斜陽を…

「スロー・ラーナー」

トマス=ピンチョン著アメリカ作家6短編集海軍・科学・スパイなど来歴や後の作風に直結するテーマが続々魅力的なダメ男や変人も多数登場“イントロダクション”“スモール・レイン”“ロウ・ランド”“エントロピー”“アンダー・ザ・ローズ”“シークレット・インテグ…

「私はゼブラ」

アザリーン=ヴァンデアフリートオルーミ著イラン系アメリカ作家“私はゼブラ!現代の女流文学騎士ドン・キホーテ!”イラン革命→米国亡命の逆を辿るピカレスク小説独学+反権力+無神論で”文学のみを愛せよ!”と父に教わる少女イタリア文学者との肉欲と情愛の虚…

「食べられる女」

マーガレット=アトウッド著カナダ作家主体客体を使い分けマリッジブルーの女性を鋭く描く(1部)1人称→ (2部)3人称→ (3部)1人称街を見れば広告は男女とも消費対象であると痛感する現代資本主義社会女性の生理・キャリア・心理の葛藤に焦点を当て”食べられる女…

「路上の陽光」

ラシャムジャ著中国チベット自治区作家短編8集チベットの伝統・自然と近代化するラサを描く「ケサル王物語」等の土着神話も題材に扱う“路上の陽光”“眠れる川”“風に託す”“西の空のひとつ星”“川のほとりの一本の木”“四十男の二十歳の恋”“最後の羊飼い”“遥かな…

「わが人生の小説」

レオナルド=パドゥーラ著キューバ作家<1980年代>詩人サークル”皮肉屋たち”の仲間の誰かに追放された文学者<1830年代>独立期フリーメイソンに裏切られた若き詩人エレディア2時代を巡る”歴史×詩人×政治ミステリ”回想録が記す裏切り者とは?おお!わが人生の小…

「さびしい宝石」

パトリック=モディアノ著ノーベル賞フランス作家少女の前をすれ違った死んだはずのママン追い掛ける程にママンが塗り固めた嘘の経歴が暴かれていく思い出し知る程に少女の宝石の様な感性は煌めいていくセピア色の写真に写る“かわいい宝石”妄想と夢に希望を…