MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-07-01 to 1 month

「嘔吐」

ジャン=ポール=サルトル著ノーベル賞フランス作家(辞退)現代文明に違和感を覚え”嘔吐”を催す日々を綴った独白日記式の実存主義文学師フッサール”現象学”を小説で表現事物の存在に不安と恐怖を覚え狼狽える主人公文字・機械・人工物と有形無形な事物に生理…

「物が落ちる音」

ファン=ガブリエル=バスケス著コロンビア作家“人は自分の落ち度に気付けない”総資産7兆円の大富豪”麻薬王”パブロ・エスコバルメデジン市を麻薬カルテルで牛耳り敵は暗殺(現在世界一革新的な都市に発展)一方で巨額の貧民救済で市民に愛された麻薬戦争を米国…

「アラーの神にもいわれはない」

アマドゥ=クルマ著コートジボワール作家“通過儀礼は親殺し”史上最大規模の少年兵動員・手足切断が行われたリベリア内戦とシエラレオネ内戦原因はアメリカ黒人解放奴隷が”入植者”として凱旋し独裁を図った為少年兵がの独白形式で数々の残虐行為と内戦の実態…

「炸裂志」

閻連科著中国作家架空の僻村が経済特区に成り上がるまでの”炸裂村”興亡史記録(モデルは深圳)村長→郡長→市長→直轄市長を目指す一族残虐で野心家の村長売春で財と人脈を得て復讐する美女狭窄な愛国者荒唐無稽でグロテスクな権力主義批判の書村上春樹にも言及し…

「巨人たち」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家空を覆う巨大な広告塔には美人が意味ありげな微笑?舞台は猥雑な欲望と資本主義が群がるスーパーマーケット”イペルポリス”巨人のように聳える現代文明の象徴”電気文明”と”広告”を揶揄視覚…

「モロイ」

サミュエル=ベケット著ノーベル賞アイルランド作家“物語なき物語”の不条理文学1部改行なく延々と自意識が円環する意味のない日常すれ違う人々の醜態と恍惚2部理性的虚偽に始まり徐々に1部のように混沌していく猥雑な他意識ベルンハルト同様に構成までは分か…

「E•M•フォースター短編集」

エドワード=モーガン=フォースター著イギリス作家8短編集ギリシア・ローマの教養を混ぜた短編集“コロヌスからの道”“パニックの話”“シレーヌの話”“アーサー・スナッチフォールド”“永遠なる瞬間”“アンドリューズ氏”“ホテル・エンペドクレス”“機械は止まる”

「新疆ウイグル自治区」

中国全土1/6人口2500万人トルコ系イスラーム自治区“東トルキスタン”新疆ウイグル史安史の乱と仏教→イスラーム化乾隆帝のジュンガル征服ヤクブ=ベクvs左宗棠弟を殺されるも融和を図った毛沢東父が新疆書紀を務めた習近平文化センターの同化政策とジェノサイ…

パトリック=モディアノ全18冊読破記念総書評

頻繁な過去と現在の場面切替曖昧で最小限の会話と人物描写通り名まで詳細に描くパリの風景三位一体の”占領下の記憶の芸術”がノーベル賞受賞理由全作品が類似テーマゆえ”数十冊の本で1作品を書いてきた生涯”と語る著者“喪失”を愉しむ”モディアノ中毒”

「八月の日曜日」

パトリック=モディアノ著ノーベル賞フランス作家〜マルヌ河発”記憶の逃避行”〜モナコ岩壁の街モンテカルロ南仏ニース紺碧の海巨大なダイヤモンド”南十字星”を舐め回す美女彼女に憧れた美術写真家の愛しいモノクロの世界恋と罠と夢と車淡い蜃気楼に騙された”…

「嘘つきジュネ」

タハール=ベン=ジェルーン著モロッコ作家貧困から盗難を繰り返し獄中で書いた小説が評価され特赦されたフランス詩人ジャン・ジュネ彼に気に入られ関係を持った著者が語る破天荒日記政治的には熱くPLOやマグレブを擁護したが私生活は適当で嘘だらけ人生自体…

「暗いブティック通り」

パトリック=モディアノ著ノーベル賞フランス作家ゴンクール賞受賞作ヨン様「冬のソナタ」のモデル探偵社を足掛かりに記憶喪失の原因となった事故を調べ”本当の自分”を探し続ける男眩しい雪景色が覆う”白の闇”の記憶在りし日に恋人と歩いた仄暗いパリの”ブテ…

「老首長の国」

ドリス=レッシング著ノーベル賞イギリス作家14短編集著者が30歳まで過ごした南ローデシア(現ジンバブエ)中心のアフリカ小説集著者には珍しく主人公は子供が多め相変わらずの鋭い分析力で文明・文化・植民地で批判”七月の冬””アリ塚””二つ目の小屋”“エルドラ…

「独裁者のデザイン」

画家志望の夢が潰えた冴えない青年は15年後ナチ党首になった五輪の聖火リレーや近代ポスター発案者もヒトラー独裁者特権”デザインによる支配”ヒトラースターリンムッソリーニ毛沢東4大独裁者中心の現代プロパガンダ史尚ページを倒すと2大独裁者が登場するデ…