MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2026-01-01 to 1 month

「アルジェリア戦争」

フランス最重要植民地アルジェリア ゆえにアルジェリア独立戦争は世界中のフランス領の行末を決定付ける国際問題でもあった 散った連合国家の夢 ドゴール平和主義路線とエヴィアン協定の帰結 バンドン会議・スエズ動乱・冷戦とナセルが導く第三世界を絡めた…

「古代ギリシア3大悲劇詩人」4冊読破記念総書評

“喜劇の本質は風刺だが悲劇の本質は愛憎と戦争” 戦争では男が神話と武勇を飾る叙事詩を 恋愛では女が傾国の美女となる抒情詩を 劇場で俳優と道具で観客の心を魅了する エウリピデス ソポクレス アイスキュロス 自然科学のポリス文明ならではの娯楽の極致

「アルジェリア近現代史」

前史→オスマン帝国→シャルル10世出兵→アブドゥル・カーディル反乱→植民地化→コロン入植→小フランス化→油田開発→独立戦争→ベン・ベラ社会主義独裁→市場解放 世界10位の国土を持つ“フランス直轄植民地”として同化政策が採られ現在は反動でアラブ・ベルベル化が…

「ギリシア悲劇IV エウリピデス(下)」

9戯曲集 3大悲劇詩人 頻繁に”Deus Ex Machina(機械仕掛けの神)”を用いた 3大詩人の中で最も現存作が多い “エレクトラ” “タウリケのイピゲネイア” “ヘレネ” “フェニキアの女たち” “オレステス” “バッコスの信女” “アウリスのイピゲネイア” “レソス” “キュクロ…

「ギリシア悲劇III エウリピデス(上)」

10戯曲集 3大悲劇詩人 男性は専ら武勇の喜劇が多いが子供や女性は悲劇が多くその題材を駆使する “アルケスティス” “メデイア” “ヘラクレスの子供たち” “ヒッポリュトス” “アンドロマケ” “ヘカベ” “救いを求める女たち” “ヘラクレス” “イオン” “トロイアの女…

「ギリシア悲劇II ソポクレス」

7戯曲集 3大悲劇詩人 ストーリーテリングの緩急が魅力で同じ3大悲劇作家の中で最も心理描写が巧み フロイト心理学の類例に扱われる理由も分かる “トラキスの女たち” “オイディプス王” “アンティゴネ” “コロノスのオイディプス” “アイアス” “ピロクテテス” “…

「ギリシア悲劇I アイスキュロス」

7戯曲集 3大悲劇詩人 死因:禿頭を岩と勘違いした鷲が亀を落下 “縛られたプロメテウス” “ペルシア人” “オレステイア3部作ーアガメムノン” “オレステイア3部作ー墓に酒を注ぐ女たち” “オレステイア3部作ー慈悲深い女神たち” “テーバイ攻めの七将” “救いを求め…

「聖書考古学」

アダムとイブからモーセまでを記述したユダヤ教徒の聖典「旧約聖書」 イエス中心に使徒の活動も記述したキリスト教徒の聖典「新約聖書」 明らかに非科学的なエピソードも多々ある中で何が真実で何が虚実か? 文書・遺物・遺構・遺跡を調べ想像の範疇で創造す…

「われらをめぐる海」

レイチェル・カーソン著 アメリカ海洋生物学者 海は宇宙より解明できていない謎が多いという 海流循環・海底湧昇流・古生物学・気団交代・湾流循環・海洋鉱物学・海中塩基配列・窒素沃素生体物質・潮汐力・地質形成・自転公転 海洋誕生〜生物誕生〜人間との…

「古代哲学史」

第1部:古代ギリシア〜ヘレニズム哲学史 第2部:ギリシア哲学参考文献・引用・思想背景の理解への手引 第3部:ヘラクレイトス名言集 何故オリエントや中国で自然科学が発展せずギリシアで発展したか良く分かる 万物の根源=水?原子?火?数?と現代人は訝しむが…

「存在しない川」

つかっちゃん著 文学仲間の2016年文藝賞賞最終候補 老愛犬消失を機に精神錯乱する缶詰工場勤務者の男 一方工場では指の一部混入事件が発生し元勤務者のものと噂が立つ 愛犬と元同僚を狂気の果てまで追い”存在しない川”に辿り着く 狂気の構造が具体的で心理学…

「日本精神史」総書評

物質が精神を滾らせ精神が物質を象る 古代〜江戸の日本の総合文化思想史 建築・芸術・文学・民藝・詩歌・舞踊・宗教・儒学・土器・茶・仮名文字・神話・随筆・小説・古墳・銅鐸・浮世絵・山水画・歌舞伎・能・狂言… 凡ゆる日本の伝統文化を思想の変遷と共に…

「日本精神史 下」

「新古今和歌集」と「愚管抄」 「平家物語」 御成敗式目 「一遍聖絵」と「蒙古襲来絵詞」 「徒然草」 「神皇正統記」 能と狂言 禅 山水画 茶 装飾芸術―宗達と光琳 江戸儒学―仁斎と徂徠 元禄文化―西鶴・芭蕉・近松 南画―池大雅と与謝蕪村 本居宣長 浮世絵 鶴…

「日本精神史 上」

三内丸山の巨大建造物 火炎土器と土偶 銅鐸 古墳 仏教受容 「古事記」 写経 「万葉集」 阿修羅像と鑑真和上像 最澄と空海と「日本霊異記」 「古今和歌集」と「伊勢物語」 浄土思想 「枕草子」と「源氏物語」 「今昔物語」と絵巻物 東大寺の焼失と再建 運慶 …

「日本精神史 上」

三内丸山の巨大建造物 火炎土器と土偶 銅鐸 古墳 仏教受容 「古事記」 写経 「万葉集」 阿修羅像と鑑真和上像 最澄と空海と「日本霊異記」 「古今和歌集」と「伊勢物語」 浄土思想 「枕草子」と「源氏物語」 「今昔物語」と絵巻物 東大寺の焼失と再建 運慶 …

「悲しき南回帰線線」総書評

クロード・レヴィ=ストロース著 フランス社会人類学者 戦後直後はフランス思想の時代 フッサール現象学 サルトル・カミュ実存主義 そして最後に”構造主義” アメリカ先住民を神話・交差従兄姉婚・社会人類学の視点でフィールドワーク 現象→構造→方法と分析す…

「悲しき南回帰線 下」

カデュヴェオ人 ポロロ人 ナンビクワラ人 トゥピカワイブ人 アマゾン4先住民を服飾・刺青・婚姻関係・伝承・文化・祭礼・暦・身分・一夫多妻制・重婚・政治権力・首長・食文化・戦闘形式・縄張など個別に分析 “野蛮未開”と思われていた文明がその実”高度な社…

「悲しき南回帰線 上」

フランスからブラジルに派遣され文化人類学研究に勤しむ中で新たな時代の潮流を導き出すまでの経緯が語られる紀行文 時代は既に”西洋の没落”が顕著であり西洋の諸学問と常識は懐疑的だった そこへアマゾン先住民の社会分析を経て後に一世を風靡した”構造主義…

「モンキービーチ」

イーデン・ロビンソン著 カナダ作家 サスペンス×青春×教養×マジックリアリズム×家族の傑作小説 少女は弟の失踪を機に自らの特殊能力と邂逅しカナダ西部海岸先住民ハイスラ族のルーツを辿る旅へ ドラッグ・セックス・イジメなど現代の社会問題と先住民迫害の…

「あやとりの記」

石牟礼道子著 故郷の水俣を髣髴とさせる神話的な自然と精霊の様な不思議な幻想世界 方言と民話を駆使しながらもマジックリアリズム一歩手前のリアリズム ジブリ作品群に近い印象の”大人の童話” 石牟礼道子は言葉に命を込める技術に長けているが子供が主人公…

「母の舌」

エミネ・セヴギ・エヅダマ著 トルコ系ドイツ作家 4短編集 “母の舌”即ち母語トルコ語 膠着語のアルタイ語派 “父の舌”即ち父字アラビア文字 屈折語のセム語派 アタテュルクの文字改革でアラビア文字→ラテン文字を採用し”父の舌”を奪われドイツに移住し”母の舌”…

「母の舌」

エミネ・セヴギ・エヅダマ著 トルコ系ドイツ作家 4短編集 “母の舌”即ち母語トルコ語 膠着語のアルタイ語派 “父の舌”即ち父字アラビア文字 屈折語のセム語派 アタテュルクの文字改革でアラビア文字→ラテン文字を採用し”父の舌”を奪われドイツに移住し”母の舌”…

「世界は村上春樹をどう読むか」

村上春樹の各国語翻訳者23人と日本が誇る世界文学通4人による”村上春樹国際会議録” 世界の日本文学市場は数年前まで村上春樹一強時代 各国翻訳の表紙デザイン比較や各国語訳比較 リズミカルで明快な文章に隠れたモチーフ分析 世界各国での受容の違いや翻訳裏…

「マテニ10号」総書評

黄晳暎(ファン・ソギョン)著 韓国作家 国際ブッカー賞最終候補 鉄道一家4世代100年サーガ “西はウィスキー(アイルランド移民)東は茶(華僑)で出来た”大陸横断鉄道 大日本帝国も御多分に洩れず朝鮮は今尚も南北分断状態 歴史は有力者の記録 故に声なき者が主役…

「マテニ10号 下」

“朝鮮〜遼東〜満州ノ鉄道網ハ帝国ノ要ナリ” 1910年:韓国併合 1919年:三一独立運動 1932年:(偽)満州国建国 1945年:ポツダム宣言 1950年:朝鮮戦争 離散した家族 労働家を支える妻 暴虐尽くしの警察 日帝に阿る幼馴染 拷問に屈さぬ兄弟 日帝の後来た米帝 産業労…

「マテニ10号 上」

“鉄道は文明の象徴” そして近代文明とは夥しく積もった屍の山の上にこそ成立するものだ 川崎重工マウンテン2型10号 通称”マテニ10号” 1世代:鉄道員 2世代:鉄道員 3世代:鉄道員 4世代:煙突籠城中の工場労働者 労働運動家の義弟 予知能力者の姑 鉄道に血を注ぎ…

「消失」

パーシヴァル・エヴェレット著 アメリカ作家 韜晦癖のあるポストモダン文学を描き続けてきた作家 しかし売れない 理由は自身の属性たる”黒人”の未活用 自棄になり匿名で俗物的な黒人小説「FUCK」を発表すると大ヒット大絶賛 唖然となり葛藤する感性とプライ…

「10:04」

ベン・ラーナー著 アメリカ作家 半自伝 詩人として成功し短編を発表して雑誌「ニューヨーカー」に作品を寄稿することになった青年 プライベートでは体外受精のため精子提供に励む 日常の些細な選択と鬱屈に揺られながら人生は進みゆく… 多民族国家で少数派に…

「一人娘」

グァダルーペ・ネッテル著 メキシコ作家 国際ブッカー賞最終候補 郭公のモチーフの使い方と作者の意思抹消がイシグロの文体とよく似ている 障害児の母になる女 代理母を経験する女 子供を遠ざけゆく女 母になれば周りは変わって見えるし実際に周りも変わる …

「東ユーラシア全史」

分水嶺はモンスーン 気候・地理・農業・遊牧民・海運・経済から交易史を辿る 東=日本〜インド→高地夏雨湿潤 西=中央アジア〜ヨーロッパ→低地冬雨乾燥 (西→東:思想)宗教・学問・毛織物 (東→西:物品)絹・麝香・米・香辛料・茶・陶磁器・金銀・漆 海と陸の東ユ…