MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2024-03-28 to 1 day

「リナーレス夫妻に会うまで」

一日一編 20世紀ラテンアメリカ短編選 アルフレード=ブライス=エチュニケ著 ペルー作家 聞いてくれ…精神科医の先生… 変な夢を見るんだ…悪夢じゃない…断片的な夢だ… “精神科医の先生”か”リナーレス夫妻に会うまで”… 短編の題名どちらが良い?…精神科医の先…

「死んでから俺にはいろんなことがあった」

リカルド=アドルフォ著 日本移住ポルトガル移住アンゴラ作家 母国では堂々と生活していたが移民先の島では”社会的に死んだ”不法滞在の無職男 それでも妻と子供を養う必要がある 批判されがちな移民も背景は様々 マイノリティが陥りやすい苦悩をリアルに描く

「目をつぶって」

一日一編 20世紀ラテンアメリカ短編選 レイナルド=アレナス著 アメリカ亡命キューバ作家 目を瞑ると何も見えない だが想像が視覚を補い何でも見える気がしてくる そうして歩行中の8歳の少年はトラックに轢かれてしまう 豊かな感性を限定的な語彙で語りキュ…

「化学の歴史」

アイザック=アシモフ著 ロシア系アメリカ作家 SFの巨匠が語る化学の歴史 古代ギリシア自然科学〜中世アラビア錬金術〜現代化学 やはり新元素発見ラッシュ〜周期表〜同位体&原子核発見のドラマが面白い 人類が物質をどの様に捉えてきたかの変遷は物質観と文…

「時間」

一日一編 20世紀ラテンアメリカ短編選 アンドレス=オメロ=アタナシウ著 ギリシア系アルゼンチン作家 人生における不条理シーンを断片的に並べ繋げた走馬灯 同じ南米文学でもマルケスの様な熱帯よりボルヘス的なラプラタ幻想文学に近い 短編にしては時空間…

「ショック・ドクトリン 下」

余りに倫理道徳が欠落するゆえ陰謀論を疑うが現実だ 拷問 戦争 飢餓放置 麻薬 津波 火事 虚偽報道 偽ワクチン クーデター 革命 政府崩壊 テロ 民族分断壁 独裁容認 通貨危機 人種差別 御用学者 賄賂 憲法無視 武器輸出 虐殺推奨 自然破壊 金の為なら何でもす…

「ショック・ドクトリン 上」

CIA拷問着想の”惨事便乗型資本主義” チリ大統領爆殺 コロンビア麻薬戦争 イラク戦争 ハリケーン被害放置 “鉄の女”軍需景気 リゾート開発の闇 アパルトヘイト便乗 ソ連崩壊とオリガルヒ IMFのアジア経済危機利用 津波に群がる富裕層 イスラエルのテロ利用セキ…

「快楽人形」

一日一編 20世紀ラテンアメリカ短編選 サルバドル=ガルメンディア著 ベネズエラ作家 石油大国で資本主義的拝金政治に陥った首都カラカスの変貌を嘆く短編 宗教シンボルの聖母すら自慰行為対象の快楽人形として見做す堕落を憂う少年 一方カトリックに背くそ…

「醜い二人の夜」

一日一編 20世紀ラテンアメリカ短編選 マリオ=ベネデッティ著 ウルグアイ作家 頬骨が陥没した醜女 火傷痕の残る醜男 醜い者同士で疎まれ惹かれ抱かれ合う 誰も愛さない醜い容姿を持つ人間でも目を伏せれば本当の美しさが見えてくる 視覚を消し聴覚と触覚の…

「クレオールとは何か」

パトリック=シャモワゾー&ラファエル=コンフィアン共著 フランス領グァドループ&フランス領マルティニーク作家 フランス領カリブ海クレオール文学史概説 世界で最も原文化を破壊されたカリブ海諸島 即ち世界史の功罪が最も凝縮された地域 小国が大国に穿…

「物語の情熱」

一日一編 20世紀ラテンアメリカ短編選 アナ=リディア=ベガ著 アメリカ領プエルトリコ作家 半自伝フェミニズム&反マチズモ作品 パリ留学中に作家を夢見て作品を書く女 有名文学・作家・登場人物が錯綜する”物語への情熱”を綴る日記 植民地プエルトリコのナ…

「フォルベス先生の幸福な夏」

一日一編 20世紀ラテンアメリカ短編選 ガブリエル=ガルシア=マルケス著 ノーベル賞コロンビア作家 シチリアで夏を満喫する少年達 その監督役の女教師フォルベス 疎ましさから彼女に毒を盛り計画通り死体になって見つかった 毒ではなく“愛ゆえ受けた滅多刺…

「インドの数学」

0の発明(ブラフマグプタ) 10進法 那由他(仏教用語) 恒河沙(ガンジス河の砂粒) 数表記法 平方根近似公式(ジャイナ教√10≠仏教π) チェスと将棋の発明 開平法と方程式 煉瓦・祭祀・農業を営む中で洗練された数学を育んだインド 古代ギリシア以上の幾何と代数学に…