MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2024-01-15 to 1 day

「マーリ・アルメイダの七つの月 下」

諧謔・自虐・暴虐・淫虐・嗜虐… 恋慕に革命に邪神に陰謀に復讐に旅に愚痴に潜入に謎解き… 大忙しの戦場カメラマン兼ギャンブラー兼ゲイ兼チャラ男 7月が昇りし時に明かされる真実と稀有な2人称文体の秘密とは…? 悲喜劇交々パラレルワールドゴーストストーリ…

「マーリ・アルメイダの七つの月 上」

シェハン=カルナティラカ著 スリランカ作家 ブッカー賞受賞作 1983〜2009年スリランカ内戦 タミル・イーラム解放の虎 vs インド平和維持軍 vs スリランカ政府軍 3つ巴の内戦終結の鍵は亡霊化した戦場カメラマンのスクープ写真!? 穢土と冥界7夜の往来サス…

「楽園」

アブドゥルラザク=グルナ著 ノーベル賞タンザニア作家 ブッカー賞最終候補 反帝国主義教養小説 ミルトン「失楽園」に登場する”楽園”キルワ アラブ君主・インド商人独占・ドイツ支配・イギリスの足音… 奴隷として売られ旅の中で成長する美少年は己が楽園を目…

「だれか来る」

ヨン=フォッセ著 ノーベル賞ノルウェー劇作家 1劇1エッセイ集 “だれか来る” 孤独を選び無人地に家を買う男女 彼(誰も来ないと豪語) 彼女(誰か来ると豪語) 男(2人に家を売り渡した老人) 単調な粗筋と反復する言葉と文体は冷たい北欧のフィヨルドを想起する “…

「砂漠の風」

一日一編 中国怪談集 紀昀著 清学者・著述家・編纂者 乾隆帝勅命「四庫全書」最高編纂責任者 しかし姻戚の罪で新疆ウルムチに一時的に流刑となり現地で民話に触れて編纂復帰後自作の奇譚を「四庫全書」にも収録した 砂漠の風が火井(石油噴出口)の炎を肥大す…

「台湾(フォルモサ)の言語について」

一日一編 中国怪談集 ジョージ=サルマナザール著 台湾帰化テューダー朝イギリス著作家 貴重な台湾・日本・中国の比較言語分析と第三者視点の外交関係分析 音節や歴史など偏見と誤解も多いが興味深い 台湾原住民インドネシア系高山族の君主が天皇と記す点も…