MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-12-25 to 1 day

「百年の孤独」

ガブリエル=ガルシア=マルケス著 ノーベル賞コロンビア作家 再読(7回目) 2023年読み納めの1冊 この本に出会わなければ140の国の2000を超える文学に出会うこともなかっただろう 人はみな孤独で愛を求めている だからこそ懸命に生きて無常に死んでいく 来年…

「越境するクレオール」

マリーズ=コンデ著 フランス領グァドループ作家 講演集 並み居るクレオール作家の中でも3大陸に実際に住み視座も作品空間も最も広範に及ぶ作家コンデ フランコフォニー(仏語文学圏)クレオール文学の歴史的発展と自身の創作の位置付けを語り更に訳者のコンデ…

「ロレンザッチョ」

アルフレッド=ド=ミュッセ著 フランス劇作家 “メディチ家の暴君”アレクサンドル “暗殺者の従弟”ロレンザッチョ(ロレンツォ) ローマ教皇を輩出した全盛期メディチ家の”知られざる御家騒動”「ハムレット」的復讐譚 テンポ良い場面切り替えと冷静と憎悪剥き出…

「光のない[3部作]」

エルフリーデ=イェリネク著 ノーベル賞オーストリア作家 第1部:音楽家A&Bの会話 第2部:エピローグ? 第3部:プロローグ? オーストリアより東日本大震災に心を悼む作家の鎮魂歌 情報の隠蔽と工作に勤しむ東京電力と日本政府への怒りと侮蔑 その会話はA/B(放…

「シェイクスピアの記憶」

ホルヘ=ルイス=ボルヘス著 アルゼンチン作家 4短編集 メビウスの輪=超ひも理論を想起する短編 “シェイクスピアの記憶” 文豪の記憶を得て自我喪失 “1983年8月25日” ドッペルゲンガーとの邂逅 “青い虎” 石ころの形而上的分析 “パラケルススの薔薇” 錬金術師”…

「イギリス怪談集」総書評

“学者が怪談を書く国”イギリス 流石は天下のオックスブリッジ学問の国 ハリポタの土壌を感じさせるファンタジーホラー おどろおどろしいゴシックホラー 芸術と科学のミックスホラー 亡霊と幽霊のユーモラスホラー 博覧強記のホラーが勢揃いで”怪談の本場”の…

「上段寝台」

一日一編 イギリス怪談集 フランシス=マリオン=クローフォード著 イタリア出身→アメリカ・イギリス・ドイツを転々とした知識人 寝台列車の上段に乗る男は持ち合わせのギリシア神話やイタリア史と自身の旅の些細なイベントを重ね合わせる 幽霊を見た男と周…

「閉ざされた扉」

ホセ=ドノソ著 チリ作家 14短編集 生涯全短編収録 日常の葛藤と苦悩からの逃避を救済に変えて描く神業 “休暇” “同名の二人” “シロンボ” “ある夫人” “盛大なお祝い” “2通の手紙” “デンマーク人” “チャールストン” “閉ざされた扉” “アナ・マリア” “散歩” “小…