MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-11-28 to 1 day

「寝室の怪」

一日一編 アメリカ怪談集 メアリー=エレノア=ウィルキンス=フリーマン著 アメリカ女流怪奇作家の先駆け ある宿の寝室に泊まったある紳士の日記は怪奇に満ちた妄想なのか? それとも実際の体験なのか? 謎を紐解いていく主人公 なお日記に書かれた特徴を持…

「黒い恐怖」

一日一編 アメリカ怪談集 ヘンリー=セントクレア=ホワイトヘッド著 聖職者から西インド諸島ヴードゥー教との邂逅を機に怪奇小説を書いた異色の経歴 “野蛮な植民地”に呑まれゆく”文明の宗主国”が印象的 ゾンビを生んだ宗教がハム族など聖書を想起する物語ま…

「アンナ・カレーニナ」再読破記念書評

レフ=ニコラエヴィッチ=トルストイ著 ロシア作家 “人は恋する時に最も嘘を付く” “愛する時と見下す時に最も正直になる” 私が恋愛文学を読む上で最も注視するテーマを凝縮した作品 多階級の多心情な多元的描写 物語という球体の円周を”生と死”に向かい進む…

「アンナ・カレーニナ4」

レフ=ニコラエヴィッチ=トルストイ著 ロシア作家 “死ねば全てが消える!” 女性が不自由だった時代に自由奔放に生きたアンナ だが社会はそれを許さなかった いみじくも“最初から最後までカレーニン夫人”を全うし続けたアンナ 1914年6月28日サラエヴォ事件 …

「アンナ・カレーニナ3」

レフ=ニコラエヴィッチ=トルストイ著 ロシア作家 息子と夫から離れてヴロンスキーとイタリアを巡ったアンナ 深まるはずだった愛は冷めていく 一方キティは幸せを築きながらも兄ニコライの死に直面する カレーニンも新たに支えを得る 都会と地方 絶望と希望…

「アンナ・カレーニナ2」

レフ=ニコラエヴィッチ=トルストイ著 ロシア作家 カレーニンへの信頼と愛 ヴロンスキーへの憧れと愛 不倫と知りながら世間体と仕事ばかりの夫 アンナは孤独から破滅的な恋に身を投じるが身籠った彼女を悲劇が襲う 一方キティは失恋から立ち直りリョーヴィ…

「アンナ・カレーニナ1」

レフ=ニコラエヴィッチ=トルストイ著 ロシア作家 “幸福な家庭はどれも似たものだが不幸な家庭はいずれもそれぞれ不幸なものである” 喜怒哀楽の激しい美貌の貴婦人アンナ 純愛ゆえの不倫は呪いとなり襲う モスクワ・ペテルブルク・イタリア・セルビアを巡る…

「木の妻」

一日一編 アメリカ怪談集 メアリー=エリザベス=カウンセルマン著 シュールリアリズム的短編 アフリカやアメリカ先住民の民話には木と結婚する者がいたという “木になった男”と結婚し子供を連れて車で足繁く通うその妻 たかいたかいなどして子供をあやす夫…