MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-10-01 to 1 month

「こびとが打ち上げた小さなボール」

チョ=セヒ著 韓国作家 連作短篇集 10次元宇宙”超ひも理論“的メビウスの輪 それは開発独裁の矛盾を孕む”内憂外患”の政治体制にも似ている 高度経済成長と貧富の格差が蔓延る1970年代ソウルの闇を遍く描いた作品 社会に圧殺される”こびと”が象徴するスラム街…

「隋」

400年ぶりに中華統一を成すも40年2代で滅亡した隋 皇帝・天河岸・仏僧の顔を持つ天子を演じ鮮卑系外戚から河北を平定した楊堅 突厥と吐谷渾を征伐し高句麗征服のため大運河を建設したが夢半ばに終わった煬帝 運河は江南の農業発展を促し科挙も開始 成長痛で…

「世界滅亡国家史」

無名な48カ国の滅亡史 <リフレッシュ諸島> 寄島者に快楽提供→海賊が来て滅亡 <コスパイア共和国> 国境引き間違い→煙草で400年存続 <満洲国> 傀儡政権丸見えで滅亡 <ラフ・アンド・レディ共和国> 禁酒で滅亡 <新羅> 骨で身分を決めて滅亡 49番目は日本国かも…

「20世紀アメリカ短篇選」総書評

アメリカ文学オールスターの傑作選 作品は都会2割に田舎8割 移民・LGBT・人種と近年のポリコレ要素は皆無 代わりに白人中心だが良くも悪くもアメリカの原風景を収めた個々の才能に拠る古典的作品が多い 一日一編に最適 文学は時代を最も反映するためアメリカ…

「20世紀アメリカ短篇選 下」

主題が明確だった先鋭的なモダニズムは鳴りを顰め漠然とした個人や世界の不条理を描くポスト・モダニズムの時代へ 映画やアメコミのマッチョさとは正反対に文学は繊細で弱い逃避者が中心 カフカの不条理 プルーストの記憶 ジョイスの言語 上記3要素の浸透&膾…

「たいへん幸福な詩」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 フィリップ=ロス著 文系インテリ夫人が憤慨ヒステリ不憫に陥る話 詩を詠い優雅にアパートで暮らす女性 彼女は理知的な人間との自負があった だが腎炎を患い旦那には浮気され自身も復讐がてら不倫を企むが相手に拒絶され…

「インドーグローバル・サウスの超大国」

経済格差・人口・IT人材・宗教・民主主義・男女格差… 様々な”世界一”を有する潜在性No.1の大国インド(バーラタ) 将来の南アジアは世界人口の2/3を占めるという 現代政治・財閥企業・柔軟外交・モディ首相・経済政策・州別文化・投資事情とビジネス中心に紹介