MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-07-19 to 1 day

「万延元年のフットボール」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家1860年(万延元年) 架空の一揆・遣米使節1960年 日米安保闘争100年の時空で接続した二項対立の寓話根所家(蜜三郎・鷹四・S次)妻の菜採子と障害児スーパーマーケットの天皇隠遁者ギー近代と現代の超克想像の創造が奔流する樹海…

「遅れてきた青年」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家“天皇のために命を捧ぐ”と教わりながら戦後を迎え死に時を喪失した”遅れてきた青年”上京後に大政治家の懐に入り社会的地位を得るだが戦前戦後と双方の極端な”洗脳”の狭間で心理的には葛藤と渇望が尚残る自意識過剰で繊細な戦…

「大江健三郎とその時代」

1958〜1999年は大江健三郎の時代“戦後民主主義”を自任し性・政治・宗教・文明・非核・障害者を最前線で訴えた「宙返り」までの夥しい文体変遷歴と世界的にも多作かつ複雑な作品世界を短編1つまで精彩に読み解く古今東西の書物を読み引用した”戦後に選ばれた…

「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家5中編海外詩句を軸にした狂気に囚われた受難者の生き様と死に様を描く家族と四国の森を扱う後の長編の思索実験ブレイクとオーデンに端をなす2篇殺伐の中に滑稽と哄笑を見出す人間が平静から狂気に至る過程の描写がリアル 収録…

「言い難き嘆きもて」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家ノーベル賞受賞〜プリンストン大学&ベルリン自由大学講師〜晩年の仕事の葛藤大岡昇平武満徹のエラボレーション埴谷雄高「死靈」30年目の「沖縄ノート」「水滸伝」プルースト嫌いディケンズ贔屓ジョン・ナッシュとトニ・モリス…

「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家東日本大震災後に月1で連載し実際の時事問題も随時盛り込んだ半分小説半分日記の”最後の小説”自身主導の”さようなら原発1000万人デモ”初の妻・妹・娘の”3人の女”の語り親族と盟友の死そして自身の老衰死への意識9条の会