MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-06-20 to 1 day

「大江健三郎 作家自身を語る」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家“最後の小説”を書き終えた著者が小説全作を初期から振り返る聞き役は15年も大江の文芸記者を務め文学論出版&全集監修も務めた尾崎真理子鮮烈な処女作と神技的初期短編徐々に”われら”や”個人的”が題名に付く想像力を駆使した私…

大江健三郎「”おかしな2人組”3部作」総書評

虚実ない混ぜで語る壮大な大江家族史自作・古典・批判の引用と語り直しで彩る”晩年の仕事”幻の”同時代巨匠ゲーム”vs三島由紀夫エリオット光さん伊丹十三世界の著名作家老いと若さ自己批評思えば誰かと常に”おかしな2人組”を組んだ大江作家生活50年の集大成

「さようなら 私の本よ!」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家“おかしな2人組”3部作3章“老人の知恵より愚行を聞け!”病床での世界的建築家との再会“老人の愚行”で青年とテロ画策(初期作想起)ミシマ問題ロバンソン小説詩人ブレイク老たる日本の会ナボコフが唆す終幕喜劇“さようなら私の本…

「憂い顔の童子」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家“おかしな2人組”3部作2章古義人研究者と共に故郷の森に帰る古義人“憂い顔の童子”セルバンテス義兄に続く母の死と群がるマスコミから逃れ”老境の探検”に専念する古義人“最後の小説”に向かい「ドン・キホーテ」的な滑稽譚の果て…

「取り替え子(チェンジリング)」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家“おかしな2人組”3部作1章世界的作家の長江古義人(我思う=大江)に届く美形俳優・映画監督の義兄の(=伊丹十三)自殺の訃報ヤクザ襲来米兵との悶着多感な青年期取り替え子伝承性と愛の記録虚実混交で迫る義兄追悼と大江文学史概観

「”自分の木”の下で」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家読書と執筆を毎日の習慣とする作家による人生論“子供と木と神話と痛み”五感の滾る表現による“人類共通の課題を導かんとする森林神話の形成”四国の辺境で生まれた世界文学灯台下ならぬ“自分の木の下”の暗がりと光を絶えず感受…

「キルプの軍団」

大江健三郎著日本ノーベル賞作家刑事の伯父に倣い英文でディケンズを読む少年ディケンズ「骨董屋」登場人物キルプとネルドストエフスキー「貧しき人々」登場人物ネリー著者の息子と弟と叔父も登場し徐々に小説の様な事件に巻き込まれ…?19世紀で一度完成した…