MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-10-12 to 1 day

「グローバリズム出づる処の殺人者より」

アラヴィンド=アディガ著インド作家ブッカー賞受賞作温家宝中国首相のIT先進地域バンガロール訪問前に届いた暗殺状貧村出の富裕層の召使は主人を殺し大国の権力者へ次の牙を向けるグローバル化の齎した途上国搾取とカースト蔓延る格差社会を抉る程に描く 地…

「帝国」

リヒャルト=カプシチンスキ著ポーランド記者・作家スターリン時代〜ソ連崩壊帝国の中枢モスクワから辺境トルキスタンまで著者の30年に及ぶルポ地理•歴史•文化•文学•政治•経済•民族…該博な知識と透徹な分析旧ソ連圏に君臨する権力者とその全体主義国家に生き…

「赤の自伝」

アン=カーソン著カナダ作家・古典学者詩の文体でギリシア神話に準え進行する斬新な官能BL小説”詩小説”怪物ゲリュオンvs英雄ヘラクレス語り手は古代ギリシア詩人ステシコロス血と熔岩とワインとフェノールと…英語・ラテン語・西語・仏語・ギリシア語を駆使し…

「山の音」

川端康成著日本ノーベル賞作家不安と不貞と不条理戦争で壊れた日本の伝統的家族観を問う作品性欲の抑制を解放した浮気男裏切られ堕胎を選ぶ正妻私生児も厭わず”母”を望む戦争未亡人美女翻弄される祖父と孫微細な変化を淡白な描写に潜ませるのが上手い老いと…