MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「帝国」

リヒャルト=カプシチンスキ著
ポーランド記者・作家
スターリン時代〜ソ連崩壊
帝国の中枢モスクワから辺境トルキスタンまで著者の30年に及ぶルポ
地理•歴史•文化•文学•政治•経済•民族…
該博な知識と透徹な分析
旧ソ連圏に君臨する権力者とその全体主義国家に生きる人民の実像に迫る

f:id:MarioPamuk:20221012084220j:image

2000年代以降は海外旅行も庶民化したがソ連崩壊前の当時に100ヶ国を仕事で歩いた人間は貴重

ましてグラスノスチ以前に外国人が肌で感じて筆を奮った例はまずない

それが“ジャーナリストの神様”カプシチンスキとなれば尚更だ

中央アジアは勿論カフカースチェチェン等に衰亡のアラル海も訪れている

ロシア史関連は100冊以上は読んだと思うが現状これ以上の本はないと思う

アレクシェーヴィチが戦争メインなのに対しこちらは生活・政治・歴史・文化と旧ソ連圏全体を俯瞰

文章も芸術的

レーニンプーチンまで連綿と続くロシア帝国の構造がよく分かるお勧めの1冊