MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-09-23 to 1 day

「はるかな星」

ロベルト=ボラーニョ著チリ作家・詩人チリ軍政下に実在した飛行機雲で詩を描くパイロット”飛行詩人”カルロス・ビーダー有名詩人ゼミ?セレブ美男子?ポルノ男優?放浪者?複数の顔を持つ怪人は裏で残虐非道を繰り返す異常者語り手と刑事の追跡詩を間奏の様…

「静寂の荒野」

ダイアン=クック著アメリカ作家ブッカー賞最終候補環境破壊で人類生存圏が都市のみとなった近未来”未知の荒野”に自然治癒を求める都市病患者の娘とその母のサバイバル記録自然も動物も人間も情け容赦ない世界特に資源と経済の欠如がそれらを助長することを…

「ロンドその他の三面記事」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家11短編集文明批判が主軸“ロンド”“モロク”“脱走者”“アリアーヌ”“オロール荘”“アンヌの遊び”“気ままな生活”“越境手引人”“泥棒よ…泥棒よ…お前の生活はどんなもの?”“オルランド”“ダヴィド” こ…

マーガレット=アトウッド全29冊読破記念総書評

長編・短編・詩・評論・芸術・科学・古典・SF・環境・フェミ…多才かつ全て一級品ブッカー賞も2度受賞個人的にも存命の現代作家の頂点と思っている母国カナダと隣の超大国アメリカの近未来を透徹する”サバイバルの作家”絶版も多いが推奨したい作家 以下個人的…

「このサンドイッチ マヨネーズ忘れてる/ハプワース16 1924年」

ジェローム=デビッド=サリンジャー著アメリカ作家8短編1中編集ホールデンが主人公の前半6短編が見所“ハプワース16 1924年”100Pの手紙に7歳児が書いたとは思えぬ世界文学・宗教・文化論の書き散らし最も著者らしくない哲学的作品 収録作“マディソン・アヴェ…

「死者との交渉」

マーガレット=アトウッド著カナダ作家ケンブリッジ大学エンプソン講演で語った”作家と著作論”当代随一の世界的作家たる社会への義務感と読者への問い掛け冥界へ降り帰還するギリシア神話の死者の英雄アエネイアス歴史神話を引き合いに英米カナダ文学や詩の…