MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-10-14 to 1 day

「物語 イスタンブールの歴史」

呼び名の数は歴史の長さ1600年の”多民族的世界都市”から1500万人の”トルコ民族巨大都市”へ“比類なき世界帝都”イスタンブール旧市街の歴史地区新市街のガラタ城壁の金閣湾欧米風のウスキュダルアジア側開発地カドゥキョイいざノーベル賞作家パムクの文学世界…

「世界の神話入門」

ギリシア神話メインで世界神話の起源と共通性を分析欧米ではギリシア神話が義務教育内容“神話を学ばぬ民族は2世紀内に消滅した”“予言”ではなくデータに基づく”帰納的法則”という点で恐ろしい歴史家トインビーの言葉通りなら神話が戦後義務教育から消えた日本…

「珈琲の哲学」

ディー=レスタリ著インドネシア作家18短編・詩集表題作“珈琲の哲学”最高の珈琲を提供すべく夢を追う店”珈琲の哲学”の劇幕(インドネシアは麝香猫の糞の香りを持たせた世界最高価コピルアク豆が特産)“ブッダバー”仲良し5人組をギリシア神話に見立て他宗教の神…

「1973年のピンボール」

村上春樹著1960〜1970年代は激動の時代学生闘争・党首演説・公害問題で死者も出たごく普通の生活を送るW主人公少数精鋭で回す翻訳業者海底へ沈みゆく鼠平和産業ピンボールの歴史にのめり込む“物事には必ず入口と出口がなくてはならない”気付けば女性が近付き…

「騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編 下」

村上春樹著画家少女依頼人少女の祖母世界的画家それぞれの物語の交錯と終幕そして歩み出す新たな道山荘の体験と”騎士団長”は炎に消えただが“騎士団長は確かにいた”映画・音楽・絵画・歴史・文学と多様な切り口で魅せる村上ワールド全開の長編

「騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編 上」

村上春樹著肉体的蜜月を重ねていく少女の祖母と富裕な依頼人の真意とは?一方で失踪した少女その行方を知る騎士団長は画家に”流血を伴う交換条件”を出しヒントを得るイデアは遷ろいメタファーへ画家が剣で突き刺す相手とは?そして少女の行方は?

「騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編 下」

村上春樹著“騎士団長殺し”創作の謎はナチ支配期ウィーン留学時代の影響なのか?一方で肖像画制作は依頼人の”とある秘密と目的”が徐々に明らかにそんな中”騎士団長”の絵が語り始める真実とは?消える偶像顕るイデア一方モデルの少女にも異変が起き…?

「騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編 上」

村上春樹著離婚を言い渡された画家の夫は友人で父が世界的名声を持つ西洋風景画家の屋敷に居を構える屋根裏で彼の画風から想像も付かない”騎士団長殺し”という題名の日本画を発見更に謎の人物から不思議な条件で巨額の報酬の肖像画制作依頼を受けるが…?

「寝盗る女 下」

マーガレット=アトウッド著カナダ作家相手の過去と弱点を見抜き状況に応じて演技で男も女も同情させる”寝盗る女”昨日の敵は今日の友今日の友は明日の敵騙された3人は結託し反撃に挑むが…?騙す側と騙される側を双眸で読み解いていく情景・心理描写を用いた…

「寝盗る女 上」

マーガレット=アトウッド著カナダ作家“寝取り上手な女”を通じて半世紀前の女の生き様を問う表の国際的な女性ジャーナリスト裏は話術と美貌と豊満な肉体でハニートラップを仕掛ける一匹狼何が彼女をそうさせたのか?3人の男を”寝取られた女達”の人生から多角…

「弟よ 愛しき人よ-メモワール」

ジャメイカ=キンケイド著アンティグア=バーブーダ作家セックスとドラッグに溺れHIV感染した実弟を看病した著者の記録隔離医療と差別を受け里にも親にも見捨てられた弟アメリカで働きながら回復を願う著者だが…時代遅れな因習に立ち向かう壮絶なHIV差別の闘…

「自転車泥棒」

呉明益著台湾作家国際ブッカー賞最終候補作太平洋戦争×現代自転車史×家族史×アジア動植物史×台湾史台湾〜東南アジアを駆け抜けた自転車と父が失踪その記憶を辿る旅200冊の参考文献を駆使し戦争に翻弄された兵士・少数民族・象たちの激動の旅疾走する自転車と…

「だれも死なない日」

ジョゼ=サラマーゴ著ノーベル賞ポルトガル作家天国か地獄か?“だれも死なない世界”が日常になる葬儀・生保・医療・介護・政界…死が理だった社会の崩壊とパニック美しく孤独な貴婦人“大鎌と死(モルト)”とチェロ奏者との邂逅これは彼女が不死を願い神話化し眠…

「尼僧とキューピッドの弓」

多和田葉子著日本・ドイツ作家愛欲の天使“キューピッド”ギリシア語名”エロス”現代ドイツ宗教遺産の在り方とは?禁欲の象徴”尼僧修道院”に惹かれる在日本人女性弓道と情欲に生きる富豪のドイツ人男性対照的な2人を軸に聖界と俗会の諸問題を流鏑馬の如く射抜い…

「ガラスの街」

ポール=オースター著アメリカ作家NY3部作の1冊前半はミステリ後半は哲学的虐待で心を壊した男から父を尾行する依頼を受けた私立探偵名を偽り捜査を続ける中で自我も消失していく万華鏡の様に煌めく大都会は明るくても迷う迷路透き通る”ガラスの街”は個人を…