MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「自転車泥棒」

呉明益著
台湾作家
国際ブッカー賞最終候補作
太平洋戦争×現代自転車史×家族史×アジア動植物史×台湾史
台湾〜東南アジアを駆け抜けた自転車と父が失踪
その記憶を辿る旅
200冊の参考文献を駆使し戦争に翻弄された兵士・少数民族・象たちの激動の旅
疾走する自転車と共に太平洋戦争史を俯瞰する

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「複眼人」以上の傑作
主人公は”自転車”
入れ子構造ながら読み易く動植物から蝶に薬師丸ひろ子まで登場
舞台も自転車と共に映像が流れるように台湾〜マレー〜ビルマと進む
資生堂創始者が台湾の自転車産業の発端とは初耳
下手に台湾史の本を読むより市井の生活が分かる上エンタメとしても申し分ない