MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-06-03 to 1 day

「ナルニア国物語5 ドーントレッダー号の航海」

クライブ=ステープルス=ルイス著 いぎ「ONE PIECE」的で個人的に1番好きな巻従兄ユースティス初参戦カスピアンやリープチーピと”最果てのアスラン王国”を目指し7人の偉人を探す航海の旅へ奴隷貿易港死水島竜の島真水の海一本足人間の島魚人の海星の島大英…

「ナルニア国物語4 カスピアン王子」

クライブ=ステープルス=ルイス著 イギリス作家1300年の時を超え帰還した旧国王で元ロンドンっ子達廃墟化したケア=パラヴェル城そこはテルマール人に征服されたナルニアだった未来の国王カスピアン王子と角笛勇敢なネズミの騎士リープチーピドワーフ巨人フ…

「ナルニア国物語3 馬と少年」

クライブ=ステープルス=ルイス著 イギリス作家遂に舞台はナルニアの隣国へアラブの如く砂漠を舞台父にDVされ自ら奴隷として売られそうだった少年畜馬として取引されそうな馬迷い込んだ王女共に巡り会い北を目指し3カ国を越えるだが実は少年には秘密があり……

「ナルニア国物語2 ライオンと魔女と衣装だんす」

クライブ=ステープルス=ルイス著 イギリス作家作中で最も有名かつ最初の作品衣装だんすを開けるとそこは異世界!現代ロンドン4人の少年少女が成長してナルニアを治めるまでの軌跡アスランの生き様がイエスと同じ(登場時に後光→裏切りに遭う→処刑→復活)最も…

「ナルニア国物語1 魔術師のおい」

クライブ=ステープルス=ルイス著 イギリス作家「Harry Potter 」「指輪物語」英国児童文学は名作揃い著者はキリスト教至上主義者イエス=アスラン(アラビア語でアルスラーン=獅子)1冊完結式で海を山を越え竜と魔女と戦う異世界モノナルニア国創生と魔女登…

「ドン=リゴベルトの手帖」

マリオ=バルガス=リョサ著 ノーベル賞ペルー作家母子相姦で夫婦が別居した「継母礼賛」の続編幼女をモデルどころか性愛した天才画家エゴン=シーレ彼に心酔する子戸惑うも悦を覚える母別居で営みを妄想で埋める父官能全振りで破滅家族を描く五木寛之「哀し…

「危機と人類 下」

ジャレド=ダイヤモンド著“隣人は選べるが隣国は選べない”流石は歴史に長けた習近平地政学と人口が齎す危機を鋭く指摘する危機管理は地政学リスク軽減と人口動態の舵取りが肝現に中国は最大の成功国家ソ連に徹底的に媚びて西欧からも信頼を得たフィンランド…

「危機と人類 上」

ジャレド=ダイヤモンド著危機に適応した7時代5カ国の成功と失敗を分析科学的データに欠け「銃・病原菌・鉄」ほど説得力はないチリ軍政明治維新スカルノ→スハルトフィンランド冬戦争アメリカ民族主義の形成アメリカの未来ドイツ現代史日本の未来オーストラリ…

「アメリカーナ 下」

チママンダ=ンゴズィ=アディーチェ著 ナイジェリア作家貧困も性差も人種も文化も乗り越えブロガーとして成功する彼女黒人大統領候補バラク=オバマに期待する日々だが何か物足りないかつて契りを約束し実業家で大成功した元恋人がチラつく本意を確かめるべ…

「アメリカーナ 上」

チママンダ=ンゴズィ=アディーチェ著ナイジェリア作家“肌色”黒人なら”黒色”だろう彼女はアメリカに来て初めて”黒人”になったアメリカナイジェリアイギリス30年3大陸に跨る遠距離恋愛を文化・人種・性・格差と多様重層に描く彼女は人権ブロガーで成功してい…

「おじいさんに聞いた話」

トーン=テレヘン著ロシア系オランダ作家エスキモーに”雪”を表す語が30ある様にロシア語には”罪”を表す語が11ある流石「罪と罰」の母国おじいさんは罪が好きだ免罪符など不要罪も業もない人間はない残酷なのに温かい罪の話動物も社会もそうした罪を赦す抱擁…

「昨日」

アゴタ=クリストフ著 ハンガリー系フランス作家アゴタweek最後の1冊亡命作家の真骨頂国民の日常は亡命者の非日常“昨日までは良かった”と感じて生きている人は多いのではないか?風も景色も自分もいつも同じ漂う虚無感通常作家は思いや訴えを込めるが彼女は…

アゴタ=クリストフ3部作読了記念全作総書評

「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」第一部はインパクトある”傑作”第二部は繋ぎと作風が優れた”秀作”第三部は伏線回収と幻想文学的な”巧作”全作まとめて驚異的な想像力発揮の”大作”映画で言うSTAR WARS級の3部作3作揃えて一気読みがオススメ

「第三の嘘」

アゴタ=クリストフ著 ハンガリー系フランス作家3部作下巻悪童ふたりの生きた証拠を残した日記何十年後も彼らは捜し合い続けていた双子は出逢うのか?すれ違うのか?双生児のLUCASとCLAUS嘘をつく物語物語りしは嘘国境を超えたら”第三の嘘”はもう戻れない戦…

「ふたりの証拠」

アゴタ=クリストフ著 ハンガリー系フランス作家3部作中巻双子の名が明かされ片方中心に展開恐らくハンガリー動乱前後が舞台悪童日記を綴り繙く日々大人になり愛を知り現を忘れたふたりは存在した証拠を遺していく前作と異なりドラマ的で登場人物が魅力的ま…

「悪童日記」

アゴタ=クリストフ著ハンガリー系フランス作家戦争が人を破壊すると痛感する衝撃の1冊戦時下を生き抜く術を探す双子財産の収奪自発的売春厭わぬ殺人暴力正当化盗みの学習法と人権なき世界では知恵が悪義に非道になる或いは違う世界線で生まれ育ったなら悪童…

「物語 イギリスの歴史 下」

2月革命に200年先駆け清教徒革命で国家統一を果たし海外進出を加速する大英帝国 以後も王と議会のバランスが保たれ責任内閣制が定着 悪名高い植民地政策だが”三枚舌外交”だけあり外交+地政学の現実主義政治にはやはり舌を巻く EU離脱も巨大で将来有望な英連…

「物語 イギリスの歴史 上」

古代イギリス史は複雑 弱小ゆえ王位継承戦争が多い 所謂“王は君臨すれども統治せず” 日本と同じ大陸の端の島国ながら民族移動に悩んだ ウェセックス王の7王国統一〜ウィリアム1世の目紛しい政体変遷の中で貴族や市民との妥協で議会文化が醸成 やがて大英帝国…

「わたしたちが孤児だったころ」

カズオ=イシグロ著 ノーベル賞イギリス作家 清末上海の外灘租界 反アヘン運動の母とアヘン貿易従事の父の誘拐で孤児となり再会すべく探偵になる男 時は経て日中戦争 孤児仲間を探し遂に両親の真実に迫る 孤独こそ真の孤児体験 だからこそ大人になって”わた…