MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-05-22 to 1 day

「継母礼賛」

マリオ=バルガス=リョサ著 ノーベル賞ペルー作家 美しく優しい母 生真面目な父 マザコン純粋無垢な男児 母に恋し入浴を覗き情交まで平気でやらかす悍ましき幼児 だが彼の恐ろしき目的は他にあった、、! 子供の恐ろしさは真にその純粋さ 南米文学は近親相…

「ルネサンスと宗教改革」

西欧がGDP世界一だったのは僅か半世紀 その土台形成に4世紀要した 文芸復興のルネサンス 宗教観再定義の宗教改革 イスラムや中国では古典を常に大学んだ一方ブームには至らず 神から人中心の思想へ 人文主義中心の科学的合理思考は矛盾だらけのキリスト教世…

「父のトランク」

オルハン=パムク著 ノーベル賞トルコ作家 TIME誌”世界に最も影響のある人物”にも選ばれた男の世界観と半生を綴るエッセイ 「雪」を除き現代政治に触れない著者が珍しく語るのが印象的 “文学は戦争の対義語たりうるか?” 歴史ある無形な文化の相互理解こそ如…

「なにかが首のまわりに」

チママンダ=ンゴズィ=アディーチェ著 ナイジェリア女性作家 フェミニスト産みの親 短編集 アメリカ留学を機にアフリカへの偏見に憤り覆すべく作家へ お堅めな移民やビアフラ戦争からライトな国際遠距離恋愛まで人口2億250民族の多様なナイジェリア像と力強…

「大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる本」

マーケティングは実践ありきなので1冊での理解は難しいがよく纏まっている IビッグデータやAIが進化した現代マーケティングと広告も高精度に 一方で消費者行動も多様化し市場分析の重要性も増す 図が多く基礎知識と経済学のセンスがある人向き

「お酒の経済学」

酒造業界の経済的分析 創業200年以上の世界企業5586社 内日本企業3116社 飛鳥時代創業の建設業に加え酒造業も古くかつ未だに革新的 欧米の食前後酒に対し懐石料理の日本は食中酒が特徴 酒税は国庫収入の2% 嗜好品ゆえ酒の消費低迷は日本経済停滞を意味し高級…

「悪徳の栄え 下」

マルキ=ド=サド著 フランス思想家 澁澤龍彦訳 理性解放という自然性への回帰を説く点で”自由かつ革命の国”フランスらしい幻想小説 同性愛レイプ死姦スカトロ浣腸SM鞭打、、 過激だが非常に博識な反宗教論調で善を知るにはまず悪と訴える 道徳など何処かの…

「悪徳の栄え 上」

マルキ=ド=サド著 澁澤龍彦訳 フランス思想家 澁澤が発掘したサディズム始祖サド公爵 無垢な少女が淫事・殺害・刑罰を重ねヨーロッパで悪名を馳せていく 凄惨かつ悍しい程の性欲と見るか? 純粋かつ個性的な本能と見るか? 残酷すぎて淫らを超えた美学 翻…