MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「たんぽぽ」

川端康成
日本ノーベル賞作家
未完の遺作
たんぽぽ咲く長閑な田舎の精神科医
通称”きちがい病院”
好意を持つ者の身体が見えなくなる架空の病”人体欠視症”の娘
その近親者の心理を深く探る実践的小説
主人公が回想や夢でしか登場しないのが不気味
自殺した著者の狂気の死生観が仄見える

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「子供時代」

リュドミラ=ウリツカヤ著
ロシア作家
6短編集
著名画家の素敵なイラスト付き(短編用に作られていない)
全編ソ連期の子供が主人公
ベートーヴェン演奏禁止の話や子供のおつかい話が印象的
“キャベツの奇跡”
“蝋でできたカモ”
“つぶやきおじいさん”
“釘”
“幸運なできごと”
“折り紙の勝利”

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「氷の城」

タリアイ=ヴェーソス著
ノルウェー作家
転入直後に運命的な出会いを感じた2人の少女ウンとシス
思春期の複雑な心情を胸に静かに繊細に惹かれ合う
しかし滝麓の雪と清流の建築”氷の城”に囚われてしまうウン
誓いを忘れず捜索を続けるシスと仲間たちだが…?
美しき雪国の温もりに満ちた小説

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「澄みわたる大地」

カルロス=フエンテス
メキシコ作家
実験的処女作にして傑作
政治家
軍人
先住民
市民
斬新な技法で50もの職種や階級に語らせた”都市=主人公”の多声的都市小説
現在は人口1500万と東京都以上の大都市メキシコシティ
革命後の市街の喧騒と日常が鮮やかに描かれた”澄みわたる大地”

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「生埋め」

サーデグ=ヘダーヤト著
イラン(カージャール朝〜パフレヴィー朝)作家
7短編集
ヘダーヤト家は首相も輩出した文官名家
三島やルシア・ベルリンを想起する”死”を意識したキレのある作風
“幕屋の人形”
“タフテ・アブーナスル”
“深淵”
“捨てられた妻”
“S.G.L.L”
“生埋め”
“ヴァラーミーンの夜”

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「V. 下」

トマス=ピンチョン著

アメリカ作家

著者25歳の驚異的デビュー作
有象無象に縦横無尽に
何モノでもあり何モノでもない”V”
正義と悪
虚像と実像
戦争と平和
富と困窮
歴史と記録
嘘と誠
女と男
破壊と創造
滑稽と皮肉
正統と異端
宗教と科学
文明と未開
無限の想像力の“動く百科全書”ピンチョンの紡ぐ裏世界史のパラレルワールド

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「V. 上」

トマス=ピンチョン著
アメリカ作家
世界史上に暗躍する謎の女”V”とは?
Venus
Vanessa
Venice
Virtue
Veronica
Valletta
Volks
Victoria
Vella
アレクサンドリア英独スパイ
マルタ包囲爆撃
ナミビア先住民迫害
パリ舞踏劇
フィレンツェ絵画泥棒
NY下水道
ヴェネツィア遊覧
ロンドン金融帝国

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