MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「みずから我が涙をぬぐいたまう日」

大江健三郎
日本ノーベル賞作家
2中編
<あの人=父=純粋天皇>を問う2作
“みずから我が涙をぬぐいたまう日”
満州な出兵した父を晦渋な文体で回顧
拘泥の中で血と涙を拭う少年
“月の男”
アポロ計画脱走者のブラックユーモア物語
“鯨+木+鳥”=環境と自虐と神話を想起

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漱石「こころ」の先生と同じく割腹自殺で天皇を尊び”殉死”した三島由紀夫の死を契機に描かれた作品

2000年代を生きる我々には想像も付かないが当時の天皇制の地盤は脆かったのだ

「洪水は我が魂に及び」や「水死」の原型でもある

またクンデラと同時期に”自虐=笑い”を文学に導入した点も見逃せない