MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-12-13 to 1 day

「ロッホ・ギア物語」

一日一編 イギリス怪談集 ジョゼフ=シェリダン=レファニュ著 アイルランド出身イギリス移民ユグノーという特異な経歴 徐々にベールを剥いで恐怖の感度を上げるタイプの短編 湖の畔の城に居る魔術師デズモンド伯爵の伝説 昔話のはずが語る内に身近に忍び寄…

「七つの殺人に関する簡潔な記録」

マーロン=ジェイムズ著 ジャマイカ作家 ブッカー賞受賞作 2段組750P超長編 “死人に口なし然れど声あり” レゲエの神様にしてジャマイカの英雄ボブ・マーリー CIA ギャング 記者 麻薬密売人 亡霊 警察 1976年ボブ暗殺未遂事件を軸に70人のアメリカ&ジャマイカ…

「判事の家」

一日一編 イギリス怪談集 ブラム=ストーカー著 「ドラキュラ」でお馴染みの作家のホラー短編 今の所この短編集で最も面白い古典らしい作品 幽霊が出るという判事の家 嘘だろうと軽い気持ちの男は徐々に蠢く鼠やガタつく羽目板に怯え始める 平然→怯懦→恐怖と…

「おーい若ぇ船乗り!」

一日一編 イギリス怪談集 アルフレッド=エドガー=コッパード著 暗喩と寓話に満ちた散文の幻想ホラー 航海から戻った若い船乗り 寄港先の港町で“命を失くした”という亡霊に出会い痴話と滑稽話で盛り上がり歌い仲良くなる しかし街の人は彼女のことは見えて…

「中国のはなし」

閻連科著 中国作家 空虚な国民主義と資本主義は歪な愛国心を生む 子→父 父→母 母→子 三角関係の殺意 魯迅「阿Q正伝」”精神的勝利法” シンクレア・ルイス「本町通り」”村落病ヴィルス” キー局”日本スゴイ” 習近平”中国古事” 村唯一の大学生が改革開放政策に夢…

「大河が伝えたベンガルの歴史」

口承文学から分析したベンガル(バングラデシュ)海洋交易史 〜6世紀:グプタ朝(バラモン教他) 8世紀:パーラ朝(仏教) 12世紀:セーナ朝(ヒンドゥー教)/ゴール朝(イスラム教) インドネシアのサムドラ・パサイ始めマレーや印僑は古来ベンガル出身者が多く航海技術…

「無垢の時代」

イーディス=ウォートン著 アメリカ作家 ピュリッツァー賞受賞作(女性初) 開かれた社交界 閉ざされた家庭生活 上流階級の青年は2人の女性の狭間で揺れる “新興階級の労働者”:婚約の美人令嬢 “古き良き地主層”:幼馴染の伯爵夫人 アメリカがヨーロッパを逆転す…

「暗礁の点呼」

一日一編 イギリス怪談集 サー=アーサー=クィラ=クーチ著 ケンブリッジ大学英文学教授・文芸批評家・作家 点呼役を兼ねる船上ラッパ吹き 「ヨハネの黙示録(アポカリプス)」登場のガブリエルは”最後の審判”に喇叭で警告し死者蘇生を司る天使 言語学・地理…

「ノーフォークにてわが椿事」

一日一編 イギリス怪談集 アラン(レスリー=ハリソン=ランバード)著 マジシャン・諜報員・短編作家・ラジオパーソナリティ・海軍 多彩な経歴と”1919年”の経験を用いた逸品 ノーフォーク農法発祥で有名な地で不思議な少女に出会う男 しかし街の人々の反応は…

「赤の間」

一日一編 イギリス怪談集 ジョージ=ハーバート=ウェルズ著 近代SFの鼻祖 「世界文化史」も物した衒学による科学も交えた怪奇譚 幽霊や憑物に怯える老人が呪われた部屋を調べていると”恐怖の根源”の正体が見えて来て…? 科学に詳しい人間が敢えて非科学的ホ…

「若者よ 口笛吹けば われ行かん」

一日一編 イギリス怪談集 モンタギュー=ローズ=ジェイムズ著 ケンブリッジ大学副総長・古文書学者・聖書学者・怪奇小説家 古代文字・古典・古代ユダヤ思想が登場する知的ホラー テンプル騎士団の聖堂跡の調査中に不気味な笛を発見してポルターガイストに遭…