MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-10-10 to 1 day

「イギリス人の患者」

マイケル=オンダーチェ著 スリランカ系イギリス詩人・作家 ブッカー賞受賞作 戦争の負傷者は兵士だけではない インド人爆誕処理係 イタリア人泥棒兼情報屋 イギリス人看護婦 イギリス人”らしき”寝たきり患者 ミステリ・諜報・戦争・恋・神話が象る詩人らし…

「千年の祈り」

イーユン=リー著 中国系アメリカ作家 10短編集 余りに素晴らしくマンロー以来に全編その場で再読した 異文化や異なる境遇の多彩な人物に気付けば共感している “あまりもの” “黄昏” “不滅” “ネブラスカの姫君” “市場の約束” “息子” “縁組” “死を正しく語るに…

「デニーロ・ゲーム」

ラウィ=ハージ著 レバノン作家 大国にゲームとして翻弄されるモザイク小国家レバノン 内戦下ベイルート ロバート・デニーロ主演某映画と同じ運命を辿る主人公と幼馴染 生きるため盗み生き残るため騙し生かされるため殺す 再会は残酷な形で訪れる 内容に反し…

「黒衣の僧」

一日一編 ロシア怪談集 アントン=パーブロヴィッチ=チェーホフ著 周囲の人間には見えない“黒衣の僧の夢”を見たため精神異常者扱いされる有望学者 順調に結婚する一方で僧との会話も増加 “天才と狂人は紙一重”という言葉はドストエフスキー「罪と罰」主人公…

「ボボーク」

一日一編 ロシア怪談集 フョードル=ミハイロヴィッチ=ドストエフスキー著 長編同様に多階級多職層の登場人物が悲喜劇的に振る舞い発狂者が発生する多声の典型的カーニバル作品 一方で珍しく著者自身の声と思わしき箇所もあり著者が思想と結末を手探りで書…

「不思議な話」

一日一編 ロシア怪談集 イワン=セルゲーヴィッチ=トゥルゲーネフ著 リアリズム小説の巨匠による意外な幻想文学 旅館の貴族会館で開催される舞踏会 地位・富・美貌を持ち合わせた女性はなぜ神秘主義に走り全てを捨てたのか? イメージと異なり神や宗教を問…

「吸血鬼の家族」

一日一編 ロシア怪談集 アレクセイ=コンスタンチノヴィッチ=トルストイ著 「戦争と平和」で有名なトルストイは別の作家 当時のオスマン帝国領セルビアに泊まった侯爵は宿の娘から吸血鬼騒動を耳にする 血に飢え血を啜り血で増える吸血鬼 侯爵の前に大量の…

「ノーベル文学賞候補作家を読む 受賞作家も読む2022」

本日発表のノーベル文学賞候補&受賞者概説 私も詩人以外は殆どの受賞作家が既読で共感と発見も多数! 【2023年個人予想(願望)】 🇦🇱イスマイル・カダレ 🇨🇦マーガレット・アトウッド 🇸🇴ヌルディン・ファラー 🇲🇿ミア・コウト 🇮🇳サルマン・ラシュディ [uploading:AE311124-…