MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-09-13 to 1 day

「人を率いる者」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 ジョン=スタインベック著 無限に広がるかに思えたアメリカ西漸運動 しかし西海岸到達でフロンティアも消滅 当時”Manifest destiny”を掲げ西部開拓者を率いた者が疎まれながらも娘と婿に回顧する 時空間の広い設定ながら…

「第四世紀」

エドゥアール=グリッサン著 フランス領マルティニーク作家 “クレオールのフォークナー”が描く4世紀6世代に跨る”小さな島の巨大なサーガ” 奴隷貿易〜フランス革命〜世界大戦 山と海を隔てながら交わり紡いだ幻視能力者 2つの一族 世界史上最も無視されてきた…

「フリアとシナリオライター」

マリオ=バルガス=リョサ著 ノーベル賞ペルー作家 18歳の文学青年マリオ 30歳バツイチ叔母フリア 2人は親戚の反対を押し切り結婚へ 一方で青年の憧れの人気ラジオDJは途中から内容と人物が錯綜し始め…? 恋に遊びに仕事に忙しない半自伝的コミカル青春メタ…

「なにかの終焉」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 アーネスト=ヘミングウェイ著 “なにかの終焉”が”なにかの始まり”の余韻を残す短編 廃墟化した栄枯盛衰の製材工場の街 久々に故郷を訪れたカップルは街の残骸を見て離別を決意する 恋の終焉 愛の終焉 街の終焉 夢の終焉 …

「オルフェオ」

リチャード=パワーズ著 アメリカ作家 犯罪×音楽×遺伝学×逃亡劇×家族愛…? 遺伝子に”音楽”を組み込もうと趣味気分の日曜化学者として取り組んでいた老音楽家 しかし警察に怪しまれバイオテロ容疑で逃亡の身となる 家族との過去や音楽史300年の想いを振り返り…

「ある裁判」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 ウィリアム=フォークナー著 かつて所属した黒人部落の昔話を少年に語る男”Some fathers” 旧名“Had two fathers”に隠された過去とは? 闘鶏描写や蒸気船を生物の様に扱うなどのアニミズム社会・口承文学・寓話が凝縮され…

「セバスチャン・ナイトの真実の生涯」

ウラジーミル=ナボコフ著 ロシア作家 半自伝的メタフィクション 亡命後の初英語創作品 偉大な亡命作家セバスチャン・ナイト その腹違いの弟が伝記執筆過程を描く小説 各国名作文学批評・社会主義論・架空小説の架空批評・言語遊戯を孕む多義的ポストモダン…