MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-09-05 to 1 day

「手」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 シャーウッド=アンダソン著 連作短編集「ワインズバーグ・オハイオ」の1編 とかく目立つ”手”の存在感から非ぬ疑いで街を追放された元教師 隠遁先でも”手”は目立つが無口に密かに暮らす 街や人や挿話が多角的で短編の完成…

「鈴蛙の呼び声」

ギュンター=グラス著 ノーベル賞ドイツ作家 “鈴蛙の美しい鳴き声は不吉の前兆だ” 1989年ベルリンの壁崩壊前夜グダニスク(ダンツィヒ) ドイツ男性アレクサンダー ポーランド女性アレクサンドラ 同名で伴侶不在の老境同士の電撃ロマンス婚 両母国共同墓地建設…

「生命の法則」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 ジャック=ロンドン著 生死の境地に走馬灯するアラスカでの最期の時間 迫る死期を徐々に認め受け入れていく老人の心理を寄り添う若者が見届ける 誰より雪原の自然の厳しさと雄大さを知る者が”生命の法則”の前に斃れ伏す姿…

「舞踏会に向かう三人の農夫 下」

自動車王フォード 隻脚の女優サラ・ベルナール ドイツ系3人の農夫 “戦争の世紀”を模るありとあらゆる文物と学問 ヨーロッパの世紀が終わりアメリカの世紀が訪れるまで 点と線 原物と複製 記録と記憶 戦争と平和 破壊と創造 音楽と絵画 “三位一体”のモノクロ…

「舞踏会に向かう三人の農夫 上」

リチャード=パワーズ著 アメリカ作家 ピンチョン×プルースト=24歳驚異の処女作 ステッキとハットを携えた3人の紳士が畔道に立つ1枚の写真 その写真を恰も紅茶に浸したマドレーヌから手繰る記憶のように驚異的な妄想と博識で膨らませた20世紀初頭の世界各国…

「鉄道大バザール 下」

鉄道は国民性を反映する乗り物 通り過ぎていく風景自体を楽しむ汽車の旅は発見に満ちている 王子との謁見 怪しい売春街 訪問地での文学公演 武装集団との邂逅 インドでの食あたり ベトナム戦争の様相 革命前イランの緊張感 分裂前のユーゴ 高度経済成長期の…

「鉄道大バザール 上」

ポール=セルー著 アメリカ作家・紀行家 鉄道だけで4ヶ月のユーラシア大陸1周の旅 皮肉と博識を交え具に現地を観察した旅行記 イギリス フランス イタリア ユーゴスラヴィア トルコ イラン アフガニスタン パキスタン インド ビルマ マレーシア シンガポール…

「ローゴームと娘のテレサ」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 セオドア=ドライサー著 門限越えによる反省を強いて娘を家に入れない父 しかし娘は恋と遊びへの憧れと反抗期から家出 帰って来ない娘に不安と焦燥を抱える父だが…? 親知らず子知らず&子知らず親知らずな父娘すれ違いの…

「密林の語り部」

マリオ=バルガス=リョサ著 ノーベル賞ペルー作家 再読 民話の継承者”語り部” フィレンツェとペルーを舞台にユダヤ系知識人の部族帰化と文化継承問題を問う ⭐︎⭐︎読書会⭐︎⭐︎ 9/24(日)13:00〜 有難いことに月1開催する運びとなりました ↓応募先↓ kotonoha.bun…

「ローマ熱」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 イーディス=ウォートン著 国際事件を扱う弁護士の妻として接待に出張に刺激ある日々を過ごした未亡人 療養がてら娘と共に久しいローマに浮かれる未亡人 お気に入りの滞在地で付き合いの長いママ友からの唐突な告白を受け…

「戦争小説短編名作選」

10短編集 世は“新しい戦前” 短編は長編より多角的に戦争を語る 遠藤周作”あまりに碧い空” 佐藤泰志”青春の記憶” 小松左京”召集令状” 竹田寛子”儀式” 田中小実昌”北川はぼくに” 野坂昭如”八月の風船” 林京子”曇り日の行進” 目取真俊”伝令兵” 吉村昭”虹” 吉行…

「平安の衣」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 オー=ヘンリー著 3時間しか着ない服すら毎日メディアを沸かす無敵の社交界アイドル しかし誰にも告げず突然蒸発 知人富豪が漫遊中スイスの田舎で見かけた彼の”新たな姿”とは…? 10Pで当時の社交界の表裏を起承転結に捌く…

「20世紀アメリカ文学短編選」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 9月は極上アメリカ文学の短編で一日一編を読んでいきます ノーベル賞作家から短編の名手まで 見た感じ都会より田舎を描く作家が多い印象 20世紀はアメリカの時代 作家も時代順にページに並んでいるのでアメリカ社会を文学…