MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-05-30 to 1 day

「アヴィニョン五重奏V クインクス」

ロレンス=ダレル著イギリス作家五重奏(Quintet):終幕の洞穴<アヴィニョン>“投げ終えた賽あるいは暴かれる秘密”アヴィニョン橋と世界最古の演劇の街苦悩と希望を携えて人々は再びアヴィニョンへ水道橋の地下で明かされる真実韜晦と想像と真実と誇張の物語

「アヴィニョン五重奏IV セバスチャン」

ロレンス=ダレル著イギリス作家四重奏(Quartet):戦後の憂鬱<ジュネーブ>“贄なる洗礼者あるいは情熱の争い”アヴィニョン騎士団の街戦争のトラウマ治癒を求めてジュネーブへグノーシス帰化の”死”の代償シオニスト会議と戦後処理崩壊者と恢復者の巣立ち

「アヴィニョン五重奏lll コンスタンス」

ロレンス=ダレル著イギリス作家ブッカー賞最終候補三重奏(Trio):戦禍の愛<アヴィニョン&ヴェネツィア>“精神分析あるいは孤独な務め”アヴィニョン捕囚の街フランス陥落営みと企みは全て一時中断各自離散し死と愛に向き合う中で捕囚と逃避と密会が続く

「アヴィニョン五重奏II リヴィア」

ロレンス=ダレル著イギリス作家重奏(Duet):騎士団の財宝<プロヴァンス>“密会あるいは生きながら埋められて”アヴィニョン異端派の街プロヴァンスでの快楽エジプト王子との青春の日々妹の失踪友人の死財宝探しと諜報戦ナチの暗雲が垂れ込めるひと夏の海街

「アヴィニョン五重奏I ムッシュー」

ロレンス=ダレル著イギリス作家独奏(Solo):多重人格<プロヴァンス&アレクサンドリア>“創造譚あるいは闇の君主”アヴィニョン教皇の街“ある小説家”の数奇な運命グノーシス主義・テンプル騎士団・カタリ派…<ユダヤ学者>マルクスフロイトアインシュタイン

「文庫で読む100年の文学」

世界文学:60冊(うち50冊読了)日本文学:40冊(うち10冊読了)各界第一人者が第一次世界大戦〜現在までの手軽に入手可能な文庫に限り紹介世界文学はどれもハズレなしの傑作揃い日本文学も詳しくない身だが興味深い選著“自分ならこれ選びたいな〜”など読む&知る楽…

スヴェトラーナ=アレクシェーヴィッチ全7冊読破記念総書評

ジャーナリスト初のノーベル文学賞受賞自身の言葉を抑え聞き役に徹し旧ソ連と戦争の最前線で生きた人々の声を掬う1つですら言葉を失うほど凄絶な証言が何百と続く女性・子供・左遷者・老人・若者…弱者に寄り添い権力に抗う報道人の鑑だ 以下個人的ランキング…

「死に魅入られた人びと」

スヴェトラーナ=アレクシェーヴィッチ著ノーベル賞ベラルーシ作家激動の政変は何を齎したか?“幻の大祖国”ソ連崩壊と共に自我と存在意義を喪失した救済の術は本当に自殺以外ないと思わせてしまう実話の数々戦争や支配は終わった後こそ全貌が見えてくるだか…

「オルフェウ・ダ・コンセイサォン」

ヴィニシウス=デ=モライス著ブラジル作家ギリシア悲劇「オルフェウス」をリオデジャネイロ舞台でリライト祈り代わりにカーニバルハープ代わりにブラジル伝統楽器冥界の代わりに丘(コルコバード?)父アポロ同様モテモテ音楽男子の熱帯感満載なリオ式悲恋劇

「アレクサンドリア四重奏」完奏の感想

私小説恋愛小説芸術小説推理小説耽美小説戦争小説歴史小説写実小説宗教小説都市小説民俗小説陰謀小説群像小説告白小説あらゆるジャンルを網羅した4部作1冊ごとに期待を鮮やかに裏切ってくるから堪らない悠久と混沌の国際都市の熱気が伝わる傑作

「アレクサンドリア四重奏IV クレア」

ロレンス=ダレル著イギリス作家四重奏(Quartet):戦後の白日<未来>“クレアあるいは囚われの告解者”灯台と錬金術師の面影を残す街アレクサンドリア出会いと別れと旅立ちと再会…変わりゆく物憂げな追憶の街全宇宙が親しげに”ぼく”を小突いたような気がした

「アレクサンドリア四重奏lll マウントオリーヴ」

ロレンス=ダレル著イギリス作家三重奏(Trio):諜報と陰謀<過去>“マウントオリーヴあるいは暗躍の外交官”今はなき図書館の街アレクサンドリアコプト教名家民族運動3枚舌外交そして翻弄されるfemme fataleナイルに流れる血と涙世界大戦の足音

「アレクサンドリア四重奏II バルタザール」

ロレンス=ダレル著イギリス作家重奏(Duet):真実と虚実<現在&過去>“バルタザールあるいは物語る医師”2000年の歴史を持つ総主教座の街アレクサンドリア信じていた事実とは異なる手記を手に入れた”ぼく”謝肉祭と舞踏会に華やぐ国際都市砂漠の中の真実

「アレクサンドリア四重奏I ジュスティーヌ」

ロレンス=ダレル著イギリス作家独奏(Solo):悲恋の群像劇<現在>“ジュスティーヌあるいは略奪愛のfemme fatale”大王の名を冠する地中海の真珠アレクサンドリア作家の”ぼく”と破滅的な恋愛の辿る結末紺碧の海と蒼天の蜃気楼交わるはずのなかった運命