MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-01-13 to 1 day

「首里の馬」

高山羽根子著芥川賞受賞作世界中の孤独者を相手にクイズ交流で精神的ケアを図る仕事“問読(トイヨミ)”沖縄の支援もない孤独な地元の個人郷土資料館2つの仕事を通じて”記録”と”記憶”という文化芸術維持の大切さを痛感する少女人間が風化させる小さな文化の意義…

「パン屋再襲撃」

村上春樹著6短編集お馴染みの渡辺昇が登場「ねじまき鳥クロニクル」原形作も収録“パン屋再襲撃”“象の消滅”“ファミリー・アフェア”“双子と沈んだ夜”“ローマ帝国の崩壊・1881年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界”“ねじまき鳥と…

「世界の音」

楽器の歴史は音楽文化の歩み世界各国の楽器と音楽理論史紹介故国の楽器を英国に封印された黒人奴隷が米国廃棄物のオイルタンクで作ったトリニダードのスチールドラム音楽は呪術的起源を持ち儀式と宗教の歴史と不可分学問・理論的なヨーロッパ音楽食器・呪術…

「ハワーズ・エンド」

エドワード=モーガン=フォースター著イギリス作家ロンドンの邸宅街が一角”ハワーズ・エンド”商魂巧みなドイツ系上流階級の青年文芸豊かなイギリス系中流階級の娘価値観の違いゆえ惹かれ合う2人はその壁を乗り越えて婚姻できるのか?触れ合いやすれ違いの機…

「浅草紅団・浅草祭」

川端康成著日本ノーベル賞作家2連作中編浅草ブーム嚆矢作新宿・渋谷・池袋など西東京開発以前の”若者の街”だった浅草嫋やかな遊女古き良き祭囃子“浅草紅団”著者自身が語り手となり浅草に意気揚々と闊歩した叙景詩“浅草祭”続編前作で十分に描けなかった下町を…

「女殺人者」

アレクサンドロス=パパディアマンティス著ギリシア作家“スパルタ教育”古代ギリシア都市国家スパルタでは貧弱な新生児を谷へ落とす習慣があったごく普通の老女の正体は無辜な少女の大量殺人者インド同様に莫大な花嫁持参金が必要な文化圏や貧困社会で”その禁…

「マリーナ30番目の恋」

ウラジーミル=ソローキン著ロシア作家ソ連期モスクワ初体験は父性欲覚醒は幼稚園時代政権を愚痴るレズ音楽教師の破天荒な堕落的生活と”経験人数30人達の遍歴”そんな彼女が人生30番目の恋で優等作業員に覚醒していくそして訪れる”あの日”…!今は亡き貴重なソ…

「アレクシェーヴィッチとの対話〜小さき人々の声を求めて〜」

スヴェトラーナ=アレクシェーヴィッチ著ノーベル賞ベラルーシ作家“赤い帝国”ソ連とは何だったのか?“耳の作家”の語る「ユートピア5部作」創作裏訴訟も国外追放も監禁も経た現在“チェルノブイリの再来”福島原発事故被災地訪問も収録

「キリストは再び十字架にかけられる」

ニコス=カザンザキス著ギリシア作家聖書・民族主義文学・難民問題・方言をユーモラスに描く傑作オスマン帝国ギリシア人村イエス復活祭再現劇の役者を募る地元教会トルコvsユダvsイエス受胎→受容→受難→受刑イエス役美少年に待つ”茨の道(Via Dolorosa” 如何に…

「したい気分」

エルフリーデ=イェリネク著ノーベル賞オーストリア作家歴史的に男性の”したい気分”に翻弄され続けてきた女性の声を皮肉ポルノ文体で解放音楽的文体・韻文・多声性(女性)・隠喩・反復・固定拍子これだけで既に過去最高度の技巧個人的に弦楽多重奏狂詩曲(ラプ…

「犬が尻尾で吠える場所」

エステル=サラ=ビュル著ベルギー+グァドループ系フランス作家2出自3人姉妹の”クレオール語”家族語り休暇に訪れる故郷の過去のコラージュ旅行噺クレオール化したフランス人フランス化したクレオール人文法も時代も国境も越えていく新しい世界“犬が尻尾で吠…

「十一月の嵐」

ボフミル=フラバル著チェコ作家10短編集プラハの春〜ビロード革命の苦悩の日々を綴った半自伝“魔笛”“沈める寺院”“公開自殺”“幾つかのセンテンス”“競馬の競走路での三本足の馬”“グレイハウンド・ストーリー”“ホワイト・ホース”“十一月の嵐”“人間の鎖”“ぎりぎ…

「グリーン・ロード」

アン=エンライト著アイルランド作家“我が家を売る”その言葉で始まる家族総勢25年ぶりの帰国&クリスマス地味な亡き父感情的な未亡人の母兄:NYのゲイ詩人弟:マリで慈善活動姉:4児の幸せママ妹:出産で女優休業中多くの挫折と少しの成功ぎこちなくも暖かく交わ…

「ホワイトノイズ」

ドン=デリーロ著アメリカ作家全米図書賞受賞作周波数の均等な心地良い雑音”ホワイトノイズ”メディア操作・陰謀論・環境汚染・疫災・優生学・薬物乱用・信仰・オカルト・セックス・大量消費社会…多様な恐怖が死に収束しゆくヒトラー学権威とその家族崩壊を描…

「花びらとその他の不穏な物語」

グアダルーペ=ネッテル著メキシコ作家6短編集“眼瞼下垂”瞼偏愛症の奇行“ブラインド越しに”覗き魔の思考“盆栽”自身を盆栽と思い込む(村上春樹的)“桟橋の向こう側”本物の孤独探し“花びら”嗅覚ストーカー“ベゾアール石”似た者同士なのにすれ違う恋人

#名刺代りの作家

リョサパムクアトウッドカダレマルケスクッツェール•クレジオ莫言イシグロピンチョン三島マフフーズアディーチェラシュディ閻連科マンロープラムディヤボラーニョフォークナー呉明益マンモディアノドストエフスキーサラマーゴ