MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「マイトレイ」

ミルチャ=エリアーデ
ルーマニア作家・宗教史学者
インド留学に基づく半自伝
風土病を患い療養のためベンガルの名家に居候
そこで一目惚れした褐色の美少女マイトレイ
宗教も文化も異なる2人の愛は許されざる禁忌だった…
男の独白のみで女の心理描写を敢えて隠し神秘性を高めている

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エリアーデは主著「世界宗教史」の宗教学者として圧倒的に有名

またルーマニア語・仏語・独語・伊語・英語・ヘブライ語ペルシャ語サンスクリット語を扱える語学の達人

更に小説家としてはその知識を活かす幻想文学が殆どを占める

敢えて自伝ロマンス「マイトレイ」を選ぶ池澤夏樹のセンスが絶妙

エリアーデ第二次世界大戦で祖国から亡命して以降アメリカのシカゴ大学を中心に活躍

フリードマンら経済学の聖地に全米で初めて宗教講座を設けて以後は各大学が模倣したという立役者

後書きで初めて知ったがシカゴ学派とは笑
総合大学が特定の看板学部だけで繁栄するのは珍しいが彼も貢献者の1人…