MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-10-04 to 1 day

「飛魂」

多和田葉子著ドイツ・日本作家1長編4短編集“飛魂”中国仙境で虎使いの見習い女性“魂”は虎穴に入らずんば虎子を得ずとばかりに“鬼が云う”「山月記」宜しく幻想的な世界と地味で人間臭い惰性が印象的言語遊戯も粗筋も良い“盗み読み”“胞子”“裸足の拝観者”“光とゼ…

「太陽が死んだ日」

閻連科著中国作家フロイト夢分析では”人の夢は欲望の顕現”とされる夢遊という”白の闇”に囚われた村民太陽が消えた暗中で邪智暴虐を繰り返す垣間見える人間の醜さと私利私欲は少年の目にどう映る…?そして怪現象の謎の鍵を握る作家”閻連科”とは…?“太陽が死ん…

「名誉の戦場」

ジャン=ルオー著フランス作家ゴンクール賞受賞作処女作優しいおばちゃんとおじいちゃんと過ごす田舎ロワールの日々表では幸福な家庭も戦争の影は残る靴箱の秘密と止まない雨“誰もが有り得た戦争私小説”を詩的文体と多層構造で描写伏線回収も見事悼み弔う忘…

「アデン アラビア」

ポール=二ザン著フランス作家半自伝的教養哲学小説の旅“僕は20歳だったーそれが人生で最も美しい時だなんて誰にも言わせない”パリを棄てアデンを征く”若さゆえの反抗”欲望は海の彼方絶望は地の此方詩人私人死人志人賜人士人師人市人試人嗜人彼はその全てだ…

「ポータブル・フォークナー」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家第8部 死なない過去(1699-1951年)1951年 “監獄ーまだ完全に放棄されたわけではない”1699-1945年 “付録コンプソン一族”1950年 “ノーベル文学賞受賞スピーチ”サートリス家の最後の栄光の日ヨクナパトーファ集…

「ポータブル・フォークナー」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家第7部 モダン・タイムズ(1928-1940年)1928年 “死の曲芸飛行”1929年 “アンタル・バドと3人のマダム”1930年 “バーシー・グリム”1940年 “デルタの秋”サートリス家の没落近代化に埋もれた敗戦国”南部の北部化”…

「ポータブル・フォークナー」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家第6部 ミシシッピ川の大洪水(1927年)1927年 “オールド・マン”洪水への畏怖世界最長級河川ミシシッピ大洪水でデルタ全域は崩壊溺死者=数百犠牲家畜=数十万刑務所農場を出た囚人は拙い舟で一変した娑婆を彷徨…

「ポータブル・フォークナー」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家第5部 ある秩序の終わり(1902-1928年)1902年 “ザット・イブニング・サン”1918年 “アド・アストラ”1924年 “エミリーに薔薇を”1928年 “ディルシー”スノープス一族台頭vsサートリス家&ベンボウ家の征服されざ…

「ポータブル・フォークナー」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家第4部 農民たち(1908年)1908年 “まだら馬”猛馬が村民に怪我をさせ裁判沙汰へだがその馬は密かに売り渡され持ち主が判然とせずに…?南北戦争後の農民綿花栽培や煙草畑綿繰機やミシン業商人羅馬や馬の飼育事情

「ポータブル・フォークナー」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家第3部 最後の荒野(1883年)1833年 “熊(行けモーセ)”古の森が息づいていた時代の冒険英雄譚帯銃し対熊猟犬とプロ猟師と“指の欠けた大熊狩り”の通過儀礼を受ける少年インディアン迫害で失われゆく”最後の荒野”…

「ポータブル・フォークナー」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家第2部 征服されざる人々(1864-1874年)1864年 “襲撃”1869年 “ウォッシュ”1874年 “バーベナの香り”サートリス大佐の死インディアン族長の死慣習的埋葬と氏族強制殉死西部劇的白人社会台頭と伝統的南部社会の…

「ポータブル・フォークナー」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家〜冒頭〜マルカム・カウリー序文第1部 昔の人たち(1820-1859年)1820年 “正義”1833年 “郡庁舎(市の名前)”18XX年 “赤い葉たち”1859年 “昔あった話”チカソー族とコンプソン一族マッキャズリン農園の黒人奴隷&…

「ポータブル・フォークナー」

ウィリアム・フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家8部構成23短編集マルカム・カウリー編+序文年代順にヨクナパトーファ・サーガを俯瞰洪水(災害)・近親相姦・サーガ・戦争・格差・下克上…フォークナー作品は神話の必要十分条件を満たす故に現代文学の祖でも…