MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-08-01 to 1 month

「フライデーあるいは太平洋の冥界」

ミシェル=トゥルニエ著フランス作家主役は「ロビンソン・クルーソー」の脇役フライデー”文明vs未開”の多様なテーマを二項対立式に古典を再構築した哲学小説無人島漂着から原始的生活の過程で得たものと失ったもの古典と幻想と現実の間に広がる”太平洋の冥界”

「カンバセーション」

マーガレット=アトウッド著カナダ作家1980年代後半のアトウッドとインタビュアーによる”文学作法談義”多彩な作風と題材と物語を駆使し作家の社会的責任も両立する著者40年前に既に現在の管理社会の闇を予言した「侍女の物語」や「食べられる女」自身の生い…

「羊をめぐる冒険 下」

村上春樹著“羊は十二支なのに安政で初紹介された近代日本の歴史そのものなのさ”羊をめぐる旅は最終地点の北海道へ…!羊の着ぐるみを被った”羊男”近代の権力史と構成をシニカルかつユーモラスな物語で包む平凡な”僕”が歩いた束の間のパラレルワールド悲しくて…

「羊をめぐる冒険 上」

村上春樹著“初期青春3部作”最終章20代後半になった僕とジェイと鼠仕事と平凡な日々とセックスとお馴染みのメンバーと”素敵な耳の女の子”と共に文字通り”羊をめぐる冒険”へ戦時の中国大陸で羊に取り憑かれた東大農学部の老神童との邂逅重なる謎と夢と非現実の…

「亜鉛の少年たち」

スヴェトラーナ=アレクシェーヴィッチ著ノーベル賞ベラルーシ作家1979 アフガニスタン侵攻ソ連は”国際友好”を名目に政府軍に助力し批判を受け撤退した帰還後も肉体欠損やトラウマに苦しむ兵士情婦呼ばわりの看護師殉職兵が眠る亜鉛の棺を前に泣き崩れる母10…

「イギリス貴族」

超階級社会イギリス東京23区を優に越える私有地を持つジェントリも多数一方で貴族院や軍人も多く”noblesse oblige”精神を持ち積極的に国家奉仕で支え実際に発展も多く担ってきた基本は世襲制だが一代限定のknight爵も存在700年に及ぶゾンバルト的「恋愛と贅…

「ゴルギアス」

プラトン著古代ギリシア哲学者哲学者ソクラテスvs弁論家ゴルギアスvsゴルギアスの弟子ポロスvs煽動政治家カリクレス論破を良しとする古代のひ◯ゆきや橋◯徹を一刀両断するソクラテス対話集ソクラテスの弟子プラトン編集の告発と論駁の書全編を通して全員ネチ…