MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-03-07 to 1 day

「生まれつき翻訳」

現代は空前絶後の翻訳時代初めから翻訳前提の”生まれつき翻訳”を意識する作家も多い村上春樹:英→漢・片・平→日→英の4重翻訳多和田葉子:日独2刀流イシグロ:時代地域背景が最初から曖昧クッツェー:英語作家ながら英語覇権に抵抗し”南半球文学”提唱ラヒリ:第3言…

「HHhH」

ローラン=ビネ著チェコ作家ゴンクール賞受賞作“Himmlers Hirn heisst Heydrich”F+NF+スパイ+歴史+戦争=新種小説ヒムラーの右腕“ナチ党の金髪の野獣”ハイドリヒ彼の暗殺計画を企てナチに入るチェコ人とスロヴァキア人の青年スパイ緻密な資料と構成小説ならで…

「顔のない軍隊」

エベリオ=ロセーロ著コロンビア作家1964-現在 コロンビア内戦(現在和平締結中)ゲリラvs政府軍vs過激自警団誰が敵か味方か分からない“顔のない軍隊”淫事は決して犯さない覗きを趣味とする長閑な老人殺人が起きても誰も驚かない一瞬にして崩れる日常と村を疾…

「プラットフォーム」

ミシェル=ウェルベック著フランス作家イスラームのパリ無差別テロ予見で有名機械化した無機質な西洋文明に疲労と倦怠を感じる文化職員と敏腕女性旅行企画者セックス以外の全てが退屈な現代バカンスで訪れたタイで巡り合った2人はタイやカリブの売春ツアーを…

「あなたがこの辺りで迷わないように」

パトリック=モディアノ著ノーベル賞フランス作家戦時下を生き抜き偽名で成功した作家朧げな幼少の記憶は殺人事件に関係すると知り過去を知る旅へ消えた父母“ある事情”で服役した養母煤けた写真の少年“あなたが迷わないように”記憶が導く遠ざかる近親者